「インドネシアの乾季とは冬のこと」(2019年07月01日)

インドネシアの乾季はオーストラリア大陸が作り出している。インドネシアの乾季はオー
ストラリア大陸にとっての冬の季節に当たり、大陸側で気圧が高まりがちになることから、
乾燥した冷たい空気が周辺に流れ出して来る。この関係は冬の季節におけるシベリアと日
本の関係に瓜二つと思えるのだが、間違っているだろうか?

インドネシアの南部地域は直接その影響にさらされることになる。ヌサトゥンガラの極度
に乾燥した風土はその因果関係を明瞭に映し出しているようだ。シベリア高気圧の強さに
よって日本の冬の厳しさにバリエーションが生まれるのと同じように、インドネシア側が
蒙る乾季の影響、特に気温面でのそれ、にもバリエーションが起こる。2019年のイン
ドネシアの乾季は寒い。


バリ島でも例年、乾季には気温の低下が強く感じられるのだが、ここ一週間ほどは室内温
度計が朝起きると25℃、昼前ごろから26℃を示し、ところがそのまま夜まで26℃が
維持され続け、29〜30℃まで上がって行こうとしない。過去十年間にバリ島で異常に
寒い乾季は数回体験しているが、今年ほど寒いものはかつてなかったような印象を感じて
いる。

バリと同様に、冷気がジャワ島各地にまで及んでいるという話がネット上で語られている。
特にここ数週間、太陽は北回帰線まで北上して南半球からもっとも遠い場所を照らしてい
るわけで、普段はそれほどありがたいと思わない日射を懐かしがる熱帯住民の数も増加し
ているようだ。

更に乾燥した寒気団が流れ込んで雲の発生を抑制するために雲が減少し、おまけに強まっ
た風ができた雲までどんどん押し流して行く。インドネシアの乾季は凧揚げのシーズンで
あることを思い出していただきたい。

雲は上空によどんで地上から放射される熱を受け止める効果を持っているのだが、まばら
な雲がさっさと流れてしまえば地上からの放射熱さえもが宇宙に吸い込まれてしまうこと
になる。いやもっと言えば、大気中の湿度すら気温に影響力を持っていて、湿度が高まれ
ば地上からの熱エネルギー放射がなにがしかは大気の中に滞留するそうだ。それらの諸要
素をオーストラリアの乾燥した寒気団がすべて駆逐してしまうのである。


ジャワ島各地からの「お寒うございます」の便りは、中部ジャワ州から始まる。
インド洋岸のチラチャップCilacapでは34℃まで気温が上昇するにもかかわらず、最近は
一日の気温変化が22〜28℃になっている。ディエン高原では朝露が霜になって農作物
に被害を及ぼしている。5月以来、降霜は10回を数え、場所によっては屋外の水の表面
に氷が張っている。

ヨグヤカルタ市から南へ9キロのスレマン県パラガン地区では、夜の気温が19℃になっ
たと報告された。

東ジャワ州スラバヤでは、都市部で最低気温が21〜22℃に低下し、パスルアン県の高
原保養地トレテスTretesで15℃を下回った。

マランでは、日中の気温22℃前後が夜には16〜17℃まで落ち込んでいる。ところが
19年6月18日には15.6℃まで低下したことが観測され、今年の最低気温と報告され
た。このまま推移すれば、8月には14℃に達するのではないかと予想されている。マランの
お隣のバトゥBatu市の一日の気温幅は16〜22℃とのこと。そして観光地ブロモBromo
火山やスムルSumeru火山では霜が降りたことが報告されている。

極めつけはきっとこれだろう。東ヌサトゥンガラ州マンガライ県ルテンにあるフランサレ
スレガFrans Sales Lega空港では19年6月15日に最低気温9.2℃を記録したことが
報告された。