「警察の体質改善」(2019年08月12日)

かつて会社がわたしに用意してくれた社用車の運転手が、かれの自宅に置いていたオート
バイを盗まれたことがある。かれは警察に届け出るかどうかについて迷いに迷ったあげく、
最終的に届け出た。そして「やはり止めておくべきだった。後悔してます。」とその話を
わたしにしてくれた。どうしてかと言うと、刑事がかれの自宅にやってきて捜査費を要求
するからだそうだ。そのときかれは金を刑事に、既に二回渡したと言っていた。1990
年代のジャカルタでの話だ。

1970年代半ばごろの話もある。ある会社の地方出張所の駐在員寮で盗難が起こり、当
時たいへん高価だったゴルフ道具のセットやら、ステレオセットやらが夜中に盗まれてい
た。翌朝すぐに警察に届け出させたら、盗難事件現場調査班がやってきてひとしきり寮内
を調べた後、調査班代表者が寮の者にこう言ったそうだ。
「盗品を取り戻したければ、金がかかります。どうしますか?」
それを聞いた駐在員は一瞬唖然とし、「いや、戻って来なくていいですよ。」と答えたと
いう話をわたしは耳にしている。

インドネシアでは、犯罪の被害者になっても、誰もかれもが警察に届け出るわけでないと
いう事情の裏側に存在しているいくつかのシーンの一例が上のような話だ。


ティト・カルナヴィアン現国家警察長官が2016年7月13日にその職に就いて以来、
国家警察の組織改革、と言うより体質改善、にエネルギーが注がれるようになった。警察
は大統領の直属機関であり、現国警長官の体質改善努力にもっとも大きい期待をかけてい
るのがジョコウィ大統領そのひとである、という構図になっている。

コンパス紙R&Dは毎年警察に関する国民の評価アンケートを集めている。2019年は
2月22日から3月5日まで全国34州のランダム抽出した2千人に対する面接調査が行
われた。そのときの警察のイメージ/印象は、「よい」が68.6%、「悪い」が24.
9%だった。

その後、19年6月26〜27日には全国16大都市の17歳超住民545人に対する電
話調査が行われて、その回答をまとめて国民の警察評価最新版が公表された。国民の警察
に対する評価は向上している。

まず警察と金の関係についてのイメージは次の通り。
*警察と関りを持つと、金が出て行く: その通り33.9%、違う63.3%
*金で警官を動かすのは簡単: その通り39.6%、違う55.2%
*警察は中立でない: その通り39.4%、違う55.8%

各分野での警察の働きに満足しているか?
*一般犯罪: 満足70.5%、不満足26.4%
*テロリズム: 満足73.6%、不満足21.3%
*SARA関連の暴動/騒擾: 満足64.6%、不満足30.5%
*総体的には: 満足70.8%、不満足27.2%

国民が抱いている警察のイメージ/印象はどうか?
よい71.2%、悪い23.9%

警察の職務遂行はプロフェッショナルにふさわしいものか?
ふさわしい67.3%、プロとは言えない29.0%

一年前と比べて、警察の働きは向上しているか?
している58.7%、悪くないが向上は見られない20.7%、過去も現在も同じように
悪い7.5%、悪化している9.9%

上に見られる通り、警察のイメージ/印象は:
2019年3月: よい68.6%、悪い24.9%
2019年6月: よい71.2%、悪い23.9%
となっていて、微増ながら向上していることがわかる。

2015年4月の数値を見るなら、ティト・カルナヴィアン現国警長官の努力が良い結果
を生みだしていることが分かるにちがいない。
2015年4月: よい55.0%、悪い43.7%