「観光客の滞在日数増がビジネス戦略」(2019年08月22日)

世界経済フォーラムの旅行・観光競争力レポート2017年版でインドネシアは、評価対
象国数136中の42位に置かれた。各項目別のインドネシアのポジションは次のように
なっている。( )内は評価ポイント。

ビジネス環境 60位(4.5)
安全とセキュリティ 91位(5.1)
健康と衛生 108位(4.3)
人的資源と労働市場 64位(4.6)
情報通信技術への対応 91位(3.8)
旅行・観光の優先度 12位(5.6)
国際的オープンネス 17位(4.3)
価格競争力 5位(6.0)
環境の持続可能性 131位(3.2)
航空交通のインフラ 36位(3.8)
陸上交通と港湾のインフラ 69位(3.2)
観光のインフラ 96位(3.1)
自然資源 14位(4.7)
文化資源とビジネス旅行 23位(3.3)

現政権の観光振興方針によって、インドネシアを訪れる外国人観光客数は年々顕著な増加
を示している。その結果、国と地元の経済によい結果がもたらされて、地方自治体の行政
パターンの中に観光産業振興は重要な政策分野の一つとして確立された感があるように思
われる。その代表例がジャワ島東端のバニュワギBanyuwangi県だろう。

2010年にバニュワギ県を訪れた国民観光客数49万1千人は2018年に520万人
となり、外国人観光客数12,505人は127,420人に膨れ上がった。その結果、
県民一人当たり所得は2010年の1,086万ルピアから4,875万ルピアに増加し
たのである。

インドネシアの国土は素晴らしい自然の景観に満ち溢れている。だから観光客が訪れる。
だが自然しか愉しむものがないのなら、やってきた観光客は一日で立ち去ってしまうかも
しれない。観光客を一日でも長くその地に引き留め、さまざまな楽しみを味わって帰って
もらうことで、地元経済は効率良く潤うことになる。おまけに再訪すら期待できるという
ものだ。

こうしてバニュワギ県では年間99のフェスティバルが開催され、諸所に観光村が名乗り
をあげ、地元料理の宣伝が食欲を誘い、農業県の実力を示さんとばかり広大な場所でアグ
ロエクスポが毎週末開催されるといった活発な活動が展開されている。その結果、観光客
滞在日数はかつての0.5日から今では2.8日という連泊スタイルに変化した。

県文化観光局データによれば、外国人観光客はひとり一日270万ルピアを出費し、イン
ドネシア人観光客はひとり一日150万ルピアの金をバニュワギに落としているそうだ。
一日でも長く逗留してもらうことの効果はそこに現れてくる。

バニュワギ県と並ぶ観光振興の成功例は北スラウェシ州だ。2015年の同州訪問外国人
観光客2万人は、2018年に12万人に増えた。州政府官房局長は2019年の催事に
ついて、州内15都市で14の優良催事が実施される計画になっていると述べている。同
州の観光客滞在日数は外国人が4.63日、インドネシア人は1.98日で、全体の平均
は2.40日。外国人観光客は中国人がマジョリティを占めている。