「続・性差別を奨める辞典」(2019年11月18日)

ライター: 短編作家、メディア就労者、レイニーMPフタバラッ
ソース: 2016年5月14日付けコンパス紙 "Tesamoko dan Gender"   

「概してここでの改良は、形式や表出方法あるいは内容について行われている。」インド
ネシア語シソーラス第二版「Tesamoko序文」エコ・エンダルモコ。

上に抜粋した文を読んだわたしは即座に、ジェンダーバイアス単語を調べた。pelacurと
その一連の類語がまずは筆頭。なぜなら、それらの語はジェンダーバイアスフリーに関す
るインディケータになっているからだ。

Pelacur: sundal, wanita tunasusila, cabo, jabong, munci.
Sundal: perempuan jalang, wanita tunasusila, lonte, munci, atau asusila, amoral, 
nakal.
Lonte: perempuan jalang, pelacur, wanita tunasusila, cabo, jabong, munci.
Munci: gendak, gula-gula, istri gelap/piaraan, nyai, selir, juga cabo, lonte, 
pelacur, perempuan jalang, dan wanita tunasusila.
Cabo: munci, lonte, pelacur, perempuan geladak, perempuan jalang, sundal, dan 
wanita tunasusila.

上の五語に関して、その同義語は初版から変化していない。sundalはsundelに音の変化が
あった。


pelacurは女性にだけ使われている。それは、女性こそが誘惑者であり不倫の源泉である、
というステレオタイプを示すものだ。言語上での実態として、ジェンダーバイアスフリー
の言葉、pekerja seks komersialが存在しているというのに、テサモコはこの言葉を採録
していない。

それについて付け加えるなら、seks komersialはモラルの喪失した売買取引と見なされて
いる。その取引は販売者と購入者の間で行われるものなのだから、seks komersialを行う
のは女性だけでなく男性も片棒を担いでいるのである。それがゆえに、sundalという語は
男性をも指し示さなければならない。perempuan jalangがあるならlelaki jalangもあり、
またlelaki tunasusilaもあってしかるべきだ。

「このシソーラスは、インドネシア語の語彙を豊かにし、同時にインドネシア語使用者の
適切な表現を可能にすることを期待して、できるだけ多くの類語や類句が掲載されている」
という編纂者の文が示す通り、pelacur, perempuan jalang, lonte, wanita tunasusilaが
selir, nyai, istri simpanan, istri gelapなどとセットにされているが、pekerja seks 
komersialとしてのpelacurとselir, nyai, istri simpananの間には本質的な違いがある。

インドネシア語シソーラス(TBI)初版の中でselirはampean (ジャワ語garwa ampean), 
gendak, gula-gula, istri gelap/piaraan/simpanan, munci, nyai, ulam-ulamが同義語
になっている。その同義語はインドネシア語シソーラス(TBI)第二版にも維持されて
いる。

nyaiの語はampean, gendak, gula-gula, istri gelap/piaraan/simpanan, munci、
gundikはnyai、selirはampean, gendak, istri gelap/piaraan/simpanan, munciが同義語
になっている。

国語活動家のひとりはシソーラスを、辞典の補完物としてセットで用いられるべきものだ
と指摘している。ならばKBBI(インドネシア語大辞典)におけるpelacurの語義はどう
なのか?perempuan yang melacur, sundal, wanita tunasusilaがその語義で、TBIと同
じであり、pelacurは明らかに女性だけを指して使われている。sundalの語義はburuk ke-
lakuan tentang perempuan, perempuan jalang, pelacurとなっている。selirはgundikだ。
だからselirやnyaiはpelacur, sundal, wanita tunasusilaとそのまま同列には置くことが
できないのである。


KBBIはgula-gulaの語を「perempuan yang diperlakukan untuk bersenang-senang(お
楽しみのために使われる女性), gundik(妾)」並びに「pria atau wanita yang diper-
lakukan sebagai suami ataupun istri oleh lawan jenisnya tanpa ikatan perkawinan 
yang sah menurut adat dan hukum yang berlaku dalam masyarakat(現行法や慣習による
合法的婚姻関係なしの、男性にとっての妻あるいは女性にとっての夫)」を意味するメタ
ファーとしている。KBBIは性差別的だが、gula-gulaの語については男女双方に用いて
いる。KBBIでは「kelompok wanita yang dikawini oleh satu pria (一人の男性が妻
にした一群の女性)」と定義付けられているharemの語をTBIは採録していない。

編纂者の序文には、このシソーラスが取り扱っているインドネシア語は可能な限りジェン
ダーバイアスフリーなものにしている、と書かれている。次の改訂版では、ジェンダーバ
イアスのかかった言葉がもっとケアされることを期待する。