「再び、語順」(2020年01月10日)

ライター: 言語と芸術退官教授、文学者、スナルヨノ・バスキ KS
ソース: 2007年5月11日付けコンパス紙 "Maling Republik atau Republik 
Maling?"

退屈しのぎにわたしはインターネットをつなぎ、グーグルを開いてMaling Republikとい
うキーワードを検索してみた。それは2年前にわたしがミザン社から出版した小説のタイ
トルだ。けっこうたくさんの件数がヒットした。中には政党中堅幹部に対してmaling 
republikにならないようにと警告する政治家のスピーチを引用したものも含まれていた。
政治家が使っているその言葉はわたしの小説から取って来たものだろうとわたしは確信し
ている。

独立闘争期からオルバ期までの時代を舞台にしたわたしの小説に関する書評もあれこれ読
ませていただいた。たいていの書評はわたしの小説を、読む価値のあるもの、と評価して
いた。ところが、あるコラムニストが本人のホームページに掲載している書評を呼んで、
わたしは驚いた。かれがわたしの作品を読もうとしない理由がそこに書かれていたのだ。

ある日かれは書店を訪れ、置かれているMaling Republikというタイトルの作品を目にし
た。かれの脳裏に疑問が湧いた。どうしてRepublik Malingと書かないのか?きっとかれ
はRepublik BBMというTV番組がお好きなのにちがいあるまい。


法曹分野の公式学歴を持つスタン・タッディル・アリシャッバナ教授はMr.の称号を持
っている。しかしながら、かれは国語専門家としての方が有名だ。インドネシア語につい
てのかれの論文は国内ばかりか国外にも発表されている。かれはインドネシア語の句構造
が、修飾される語Diterangkanが前に置かれ、修飾する語Menerangkanが後にくるというD
M法則で形成されていることを明らかにした。MD法則が使われる英語とは反対になって
いる。

外国語に強く影響されすぎたために、多くのひとは間違いを犯している。Mega Promoは
Promo Megaが正しいインドネシア語だ。なぜならMega PromoはMega(あるいはメガワティ
さん)をプロモートすることになる。この種の誤りの中に軍の階級名称が含まれている。
MD法則型外国語をそのままの語順で翻訳したケースだ。mayor jenderalやletnan jen-
deralは、正しくはjenderal mayorやjenderal letnanにならなければいけないはずではな
いか?komisaris besarなどのように、警察の方はもっと整然とした階級名称になってい
る。だからと言って、わたしがそれらの名称を変えろと言っているわけではない。そんな
ことをされたら、混乱するのは民衆だ。もう遅すぎる。今更、どうしようもないのだ。


ジャカルタには、空港寄りの場所に住宅地区が設けられ、Pantai Indah Kapukという名称
が付けられた。建設工事中は、そこにパーム樹が列をなして植えられ、今では本当に美し
い風景を見せてくれる。ところがその住宅地の名前は奇妙な印象をもたらしている。

土地の名称はPantai Kapukなのである。Kapukという名のpantaiなのであり、もちろん
Kapuk Pantaiではない。そこに作られた住宅地であるなら、Pantai Kapuk Indahとなるの
が自然なはずだ。美しいカプッビーチという意味だ。ところがそれを頭字語で呼ぼうとし
たとき、問題が起こった。PKIは御禁制なのである。

それをもっと突き詰めていけば、われわれは文法から逸脱した句構造を見出すだろう。規
範的でなく記述的原理に沿って行くなら、われわれは新しい句構造の法則を構築しなけれ
ばなるまい。だが必要に応じて、われわれは定義付けにおけるいつもの習慣を使えばよい
のだ。何か、ある法則について語り終えた後で、更に付け加えていく習慣「ただし例外と
して・・・・・」を。

それが言語の柔軟性だ。国語センターが言語警察総司令部になる必要などないのである。