「進まない民族の知性(前)」(2020年01月22日)

ライター: フォーラム「インドネシアとなる」コーディネータ、スウィディ・トノ
ソース: 2015年12月30日付けコンパス紙 "Merenungkan Keindonesiaan"

1930年8月18日にバンドンの植民地法廷における弁護人冒頭陳述「インドネシアは
告発する」でブンカルノは、帝国主義‐資本主義が一民族にもたらした没落を分析した。
豊かな語彙、威厳に満ちた文章、心に食い込むメッセージを通してかれは、植民地主義者
の心を突き刺す事実とオーセンティックな見解を示した。

植民地政庁が支持している帝国主義‐資本主義が現地民族にもたらした四つの深刻な崩壊
とは、分裂・慢性的貧困・知性の後退・原住民根性であり、支配者への協力を強いる共同
政策の結果としての服属者意識だった。ブンカルノによれば、それらの現象は、原住民を
ただの肉体労働者にして外国企業がインドネシアの豊かな天然資源を搾り尽くすのを保証
するために必要とされた手段だった。

そのポイントをはっきりさせるためにかれはブケJH Boeke教授の1927年の表明を借用
した。「かれらは東インドの富をたくみにさらいあげて自国に最大限の経済利益をもたら
した。かれらは世界市場が必要としている物品を生産し、東インドに対して良い土地と廉
い労働力を要求した。」

アンチテーゼとして1927年に興したインドネシア国民党を通し、かれは統一、民衆へ
の英明化教育、自己信頼、オランダへの協力拒否と非協力運動の強化を推進した。

< 構造的貧困 >
独立後、その抵抗の四本柱は、民族と民族性の構築・高等教育推進・トリサクティ立ち上
げ、そして同時に、一方的に国益を決めつけてくる外国勢力に対する協力拒否を通して実
現が図られた。しかしそれらの方針は1965年の悲劇で暗礁に乗り上げた。次の状況は
ブンカルノが告発したインドネシアの姿を今日も垣間見させているものだ。

1998年のレフォルマシでインドネシアを本来のものに引き戻そうとした統一の意志と
運動はますます色あせている。流動的で取引に満ちたイデオロギーはコラプションとレン
トシーキングを繁茂させている。国家的大目的のために政党を進歩させ規律を与えること
に関してわれわれは再び失敗の影につきまとわれており、おまけにさまざまな利益への分
裂媒体として利用するため、それを放置しがちになっている。

国家‐地方の政治態勢は種々の悪い徴候を示している。金がかかる、容認主義的、騒々し
い、その場限り、低合法性、楽観主義を育てない、封建的現象の増加。われわれのデモク
ラシーは本質的なものから形式的なものへの移行を強く示している。尊貴とお手本にあふ
れた政治の倫理と道義は利益連合と支配欲によって除け者にされている。


その紛糾した状況の中で、いろいろなアジェンダが組まれて公共政策に影響を及ぼしてい
る。経済不平等は政治意志の不均整の結果引き起こされている。インドネシアの最富裕層
1%が国家の富の50.3%を握っている。そして10%の富裕層が金融と不動産セクタ
ーを筆頭に国家資産の77%を掌握しているのだ。(12月9日付コンパス紙)

この不均等な所得分配は、世銀の報告では、勤労者と資本家に対する徴税の差、活発な汚
職、マジョリティ勤労者の低生産性と低報酬、出生以来の機会不均等(教育・栄養・保
健)、一部国民に貧困をもたらす自然災害などの結果だそうだ。2015年にノーベル経
済学賞を受賞したアンガス・ステュワート・ディートンは、政府がかれらの需要を理解す
るとき貧困者に福祉が訪れると指摘している。歪んでいない、正しい政治システムを持つ
政府は国民に福祉をもたらすことができる。「かれら自身の利益のために、富裕層が公共
政策に影響を与えることを放置してはならない。」(10月17日付けコンパス紙)
[ 続く ]