「プレマンの隠語(後)」(2020年03月31日)

ライター: レプブリカ紙記者、シティ・ダロジャ・スリ・ワッユニ
ソース: レプブリカ紙 "Mengenal Istilah Dunia Percopetan"

第三の役割はツマミ屋tukang petik/comotで、その名の通り押し合いへし合いしている乗
客の流れの中にいる被害者の持ち物をピックアップする。財布・携帯電話機・その他金目
の品物ならなんでもよい。被害者に覚られてはならないために、ツマミ屋は技能を訓練し
なければならない。ツマミ屋は一番器用で優秀な人間でなければならず、熟練者がその役
に就くのが普通だ。反対に初心者でも務まるのがブレーキ屋だ。

この手法はバスや電車などの公共輸送機関でよく使われるものだ。一方、自動車強盗は人
数がもっと増えて、最低四人が必要になる。しかし役割はツマミ屋と見張りpengintaiだ
けになる。

ツマミ屋が自動車を襲って車両を奪い取ろうとしている作業中に、見張りは周辺状況を観
察する。仕事がヤバくなりそうな状況が察知されると、即座にツマミ屋にそれを知らせる。
被害者の抵抗が強くて仕事がうまく進展しそうにない場合、強盗は被害者にソフトタッチ
colekan manisを行う。被害者が死なない程度に、手足を傷付けるのだ。しかしそれでも
被害者が仕事の邪魔をし続けるなら、最後の手段はブラシ掛けsikatになる。つまりコロ
シが行われるのである。


かれら盗賊たちが仕事を行うとき、常にそれらの隠語を使うとは限らないが、かれらの隠
語を知っていたおかげでわたしは難を免れることができた。あるときマヤサリMayasariバ
スのプロガドンPulogadung⇒ブロッケムBlok M行きに乗っていたとき、わたしの周囲の乗
客の誰かがremと言ったのが耳に入った。驚いたわたしは反射的に声を荒げた。「今なん
て言ったの?ブレーキは誰?ツマミはどこにいるの?」
ほどなく、わたしの周囲にいた男たち8人がぞろぞろとバスから降りて行った。

別の折りに、わたしはプロガドンバスターミナルで空いているバスに乗った。バスの外に
いる女性のカキリマ商人が数人の男たちに話している声が聞こえた。「これに乗ろうよ。
わたしがブレーキやるからさあ。」
わたしは即座にシートから立ち上がると、バスの外に飛び出した。

言葉だけでなく、盗賊たちは独特のボデーランゲージを使う。何か悪事を行おうとすると
き、不安な精神状態がかれらの動きを変わったものにする。他人のふりをして乗り物の中
で喧嘩騒ぎを引き起こすときの騒々しさは並みじゃない。その陰でツマミ屋が動く。かれ
らは普通の言葉をしゃべっているが、その言葉が意味するものはまた違っている。[ 完 ]