「侵入盗にご用心(後)」(2020年04月06日)

ともあれ、それでも空き巣犯罪は頻繁に起こっている。2017年に首都警察が発表した
2016年首都圏犯罪データによれば、管区の犯罪発生件数は43,842で12分に一
件の犯罪が記録された。

警察は空き巣狙いを侵入盗pencurian dengan pemberatan (略称curat)というカテゴリー
に区分している。一般世間でperampokと呼ばれるものであり、犯罪統計カテゴリーの22
区分中で、侵入盗はトップスリーに位置している。ナンバーワンは詐欺、第二はナルコバ、
そして侵入盗と続くのである。


空き巣犯罪防止に何をすればよいか。インドネシアでは昔から、地域住民の自力保安が普
通だった。その伝統は多分、共同体生活におけるゴトンロヨンに由来しているように思わ
れる。

今でも、町内で個別にシスカムリンが実施されて、夜中に住民が見回りを行っているとこ
ろもある。シスカムリンとはSIStem KeAManan LINGkunganの短縮語で、住民自治の一環と
して町内の秩序維持・犯罪防止・保安確保・火災予防などの活動が住民によって行われる
ものだ。

わたしも昔住んでいた南ジャカルタ市パサルミングの一角でシスカムリンに駆り出され、
徹夜の夜回りを隣人たちと行ったこともある。だが週日の徹夜は翌日の仕事に大いにこた
えるため、シスカムリンは徐々に町内でサッパムを雇う方向に変化して行った。

だが金で雇われたサッパムがどれだけわが身を厭わず町内の保安に尽力してくれるのかと
いう迷いを抱く住民もいないわけではない。わたしの町内でも一度、盗賊がある家に侵入
した事件があった。賊の一人を見つけたサッパムが賊を捕らえようとせず、賊は西に向か
って走ったにもかかわらずサッパムは東にある警備詰所に「マリン、マリン」と叫びなが
ら走って行ったという話を翌日隣人のひとりがわたしに物語ってくれた。

上のコンパス紙アンケートへの回答によれば、空き巣を含む侵入盗犯罪予防はシスカムリ
ンが一番良いと答えたひとが最多数を占めた。
1.自分の住環境にシスカムリンポストを設ける。43.0%
2.サッパム・ハンシップなどの保安要員を雇う。25.7%
3.町内に入って来る道路にポータルportalを設ける。14.2%
4.ソスメドを使って住環境内の異変を連絡し合う。7.3%
5.住宅地区へのパトロールを警察に要請する。6.1%
6.自分で常に警戒を怠らない。3.2%
[ 完 ]