「ジャワ島の料理(26)」(2021年12月09日)

ヨグヤのハムンクブウォノ7世と8世が好んだマヌッノムはタぺクタンとンピンの絶妙な
コンビネーションが愉しめる一品であり、マンクヌゴロ4世もそれを愛好した。

ソロとヨグヤの王宮では毎日儀式が営まれ、その儀式に関りを持つ料理で儀式が完成する。
その料理のひとつに、飯を球状に丸めたナシゴロンがある。オマシンタンのナシゴロンに
は、生野菜urap・ゆで卵・タフ/テンペゴレン・アヤムゴレン・茹でたほうれん草/トウ
モロコシ/ニンジン・sayur loncomと呼ばれる透明スープが添えられる。

オマシンタンの特別メニューのひとつであるsate penthulはスラカルタ王宮で8年に一度
催されるアダンスゴタフンダルの日にだけ作られる料理だ。先に説明してあるように、王
たちはダル年のマウリッに当たるその日、領民のために飯を炊く。ダル年は預言者ムハン
マッの生誕年とされているのである。サテプントゥルはソロで、王夫妻が炊いた飯のおか
ずとして王宮が用意する。

王宮はサテプントゥルのレシピをいまだに秘密にしているが、オマシンタンではそのもど
きを一年中いつでも味わうことができる。それを食べてみて、その王宮の秘密を解き明か
してみようという食の達人はいらっしゃるだろうか。


中部ジャワと東ジャワの州境一帯にpecelという料理が生まれた。これはピーナツを使っ
たサンバルが特徴的な料理だ。sambal kacangはこのプチュル用、ガドガド用、サテ用、
シオマイバンドゥン用で少しずつ違いがある。プチュル用サンバルカチャンのレシピはこ
れ。
炒ったピーナツひと握り
炒ったニンニク3切れ
炒った赤トウガラシ2個
炒ったバンウコンkencur1本
コブミカン葉2枚
ヤシ砂糖大匙2杯
タマリンド小匙1杯
塩適量
オプションとしてチャベラウィッ7個
1.全部の材料を混ぜてすりつぶす。
2.水を混ぜて適切な濃さにする。
それだけでプチュル用サンバルカチャンの出来上がり。地方によってはサツマイモを混ぜ
て濃さに重量感を加えるのを好む向きもあるそうだ。

pincukと呼ばれる皿替わりのバナナ葉の上に飯を載せ、その上に種々の茹でた野菜とギン
ネムやキュウリを置いて上からサンバルカチャンをかけたものがナシプチュルだ。野菜は
それぞれの地方で一般的なもの、またこの料理を作る季節によって一般的な野菜が何でも
使われるから、必ずこの野菜を入れなければナシプチュルにならないというものでは決し
てない。

長豆kacang panjang・もやしtaoge・キュウリmentimun・キャッサバ葉daun singkong・バ
ジルdaun kemangiがナシプチュルに一般的な野菜ではあるが、なければないで、代わりに
何でも使えばそれでよいということのようだ。

その上に更に、テンペとルンぺイェやクルプップリpuliが載せられる。たいていアヤムゴ
レン・肉炒め・揚げ卵・牛タン・テンペ・タフなどが別に用意されていて、追加料金を取
って客の希望に応じられるようにしてある。ピンチュッは飯の風味を良くする効果を持っ
ているために、地方によっては温かい飯とバナナ葉が不可分にされている。決して食器の
節約をしているわけではない。[ 続く ]