「デリのニャイ(24)」(2025年07月14日)

15日が来た。農園の一斉休業日だ。デリの農園では毎月1日と15日が給料日の休みに
なっている。農園で働く者たちの中には、14日の夜からお楽しみにわくわくして、よく
眠れないまま15日の朝を迎える者も少なくなかった。老若の男たちは町へ出て楽しもう
とし、女たちも農園の外に出て慰安を求めた。女たちの中には金を稼ごうとする者もいた。
農園のニャイたちも町へ出て楽しみ、おまけに行きずりの恋で金を稼ごうとする者もいた
のである。

近隣の町々にあるホテルもそんなことは百も承知だったから、農園の一斉休業日は大売り
上げの日であり、男女カップルが入れ代わり立ち代わり客室を利用するのを大喜びで受け
入れ、従業員も色事客を大事な客として丁寧に扱った。他の土地にある倫理観とは異なる
社会常識が農園の黄金郷には築かれていたということだろう。


ロスミナのトアンは農園の番をしなければならないため、その日、ロスミナと一緒に買い
物に行くことができない。前夜、浮き浮きしているロスミナにトアンが言った。
「ミナ、明日町へ行っても、ここへ帰るのを忘れちゃいけないよ。」
「あらまあ、トアン。あたしはもう半月もトアンに連れ添っているんですよ。毎日何の不
足もない暮らしをして喜んでいるというのに、まだあたしを信じてくれないのね。」
と悲しげな顔をして見せると、トアンの心中に後悔が花開く。

「怒らないでくれ、ミナ。デリのニャイはみんな節操がないという話を聞いてるので、お
まえだけはそんなのを見倣わないで欲しいんだよ。」
「他のニャイはそうなんでしょうけど、あたしはこの人と決めたらもう他の男には見向き
もしません。トアンがあたしを選んでくださったのだから。
トアン、あたしは黄金の腕輪と黄金のピンを買いたいんだけど、お金を足してくださいま
せんか?」
「いくら欲しいの?」
「3百ルピアくらい。」
「そりゃ大金だな。服も買わないのか?」
「ええ、買います。でも高価な宝飾品を何も着けていないとトアンの恥になりますよ。ト
アンのニャイがあんな貧乏ったらしい格好をしているって言われます。あたしが高価な品
を身に着けることで、トアンの評価が世の中で高まるんです。トアンが買ってあたしに使
わせてもそれはトアンの物なのだから、もしもお金が入用になったらそれを売ってまたお
金にすることができ、トアンの手に戻るんです。」
「じゃあ、明日おまえが出かける時にその金を渡そう。わたしが一緒に行けないので、伯
父さんに一緒に行ってもらいなさい。」

ロスミナは大喜びだ。監督人頭から1百ルピアを手に入れ、トアンから3百ルピアがもら
える。あたしの身体が黄金のきらめきに彩られるのも、もうすぐだ。


翌朝、ロスミナとカスミンが農園を出てトゥビンティンギ駅にやって来ると、だいぶ早く
来て待っていたチューケンが顔を見せた。
「友よ、あんたたちの切符はもう買ってあるから、買わなくていい。」

三人は発車時刻を待っているシアンタル行き列車の二等客車に乗り込んだ。まだ朝食を食
べていないカスミンが駅の脇にある食べ物売り屋台エリアに行くため、席を外した。いろ
んなジャワ料理がそこで手に入る。[ 続く ]