「星空のインドネシア(6)」(2024年05月29日)

バニャアンラムが日没後の夜空に登場するマンサはMangsa Kalimaだ。この星座は水平線
から30〜40度上の位置に出現する。マンサカリモは10月13日に始まって11月8
日まで続く。それは雨が降り若葉が萌え、ネズミが活動を活発化させ、チーク林を虫が食
い荒らしはじめる季節の到来を物語っている。マンサカリモは乾季から雨季への移行期で
あるmasa labuhに属している。

そのとき、コールサックは水平線の下に潜っていて、夜空には出て来ない。マンサカリモ
にさそり座とコールサックが同時に観望できたことは昔から一度もないのである。つまり
マンサカリモの手がかりとして語られているバニャアンラムは間違いなくさそり座のこと
であり、コールサックではありえないという結論がそこから引き出せる。しかし他の季節
にその両者が混同されることはきっと起こり得ただろう。

それはそれとして、マンサカリモに見えるさそり座は既に下向きになっているのだから、
サンカルプトゥンあるいはカラスンサンと呼ばれるほうが合理性を持っている。にもかか
わらずプラナタマンサがバニャアンラムの名称でそれを示しているのは、ジャワ人にとっ
てのさそり座の名前が元々それであったことを考慮した結果である可能性をわれわれに推
測させてくれる。

バニャアンラムはジャワ人が深くなじんでいる言葉であり、博物館に保存されている古来
から伝承された槍の名前に使われていたり、また地名にその言葉が使われたりしている。
神話の世界でも、ウラハスパティ神と出会うバスンダリ女神の話に欠かせないものとして
バニャアンラムが登場する。バスンダリは地球を象徴しており、ウラハスパティ星は金星
を指している。ふたりの出会った地点が天の赤道と黄道の交差するポイントであり、現代
天文学でequinoxと呼ばれている場所だ。

今のイクイノクスはうお座の方角にあるが、遠い昔はさそり座の方にあった。計算による
とその時期は紀元前1万8千年ごろと算出される。それほど古い現象が神話として残され
ていることに、われわれは驚嘆の思いを禁じ得ない。


インドネシアで銀河はBimasaktiと呼ばれる。ビマはあのマハバラタに出て来るパンダワ
の勇者だ。英語でミルキーウエイと呼ばれている銀河のミルクのような白い河の中に巨大
な蛇をシンボライズするヌンブルノウォ別名ロジョパヌラが暗黒の姿をからみつかせてい
る。ビマが生命の水ティルトパウィトロを探す旅をしたとき、邪悪な大蛇はビマに倒され
た。こうして神通力を持つビマが銀河の名称になったのである。

KBBIのbintangの項に、既述のものの他に次のようなものが挙げられている。
bintang barat  夕方の西空に明るく輝く金星
bintang timur 夜明け前に東空に輝く金星
bintang kejora  金星
bintang tohok 南十字星
bintang utara 北極星
bintang utarid 水星
bintang belantik オリオンのベルト
bintang beluku bintang belantikと同じ
bintang jung bintang bidukと同じ
bintang suraya bintang kartikaと同じ
bintang ketika bintang kartikaと同じ
bintang mayang おとめ座
bintang sartan かに座
[ 続く ]