「天の蝕(8)」(2024年07月10日)

2016年3月9日、インドネシア北部地域を皆既日蝕が通過した。日蝕はインド洋の上
空で始まり、スマトラ島の西スマトラ・ブンクル・ジャンビ・南スマトラ・バンカブリト
ゥンの諸州、カリマンタン島の西カリマンタン・中部カリマンタン・南カリマンタン・東
マリマンタンとスラウェシ島の西スラウェシおよび中部スラウェシ、そして北マルクの各
州の上空を彩った。

各地での発生時刻は次のようになっていた。
都市名 : 開始時刻〜ピーク時〜ピーク終了〜日蝕終了(時刻はローカルタイム)
パレンバン:6:20:30〜7:20:50〜7:22:41〜8:31:28
タンジュンパンダン: 6:21:06〜7:22:53〜7:25:03〜8:35:48
パランカラヤ: 6:23:29〜7:28:57〜7:31:27〜8:46:54
バリッパパン: 7:25:38〜8:33:56〜8:34:57〜9:53:41
パル: 7:27:51〜8:37:47〜8:39:53〜10:00:35
テルナーテ: 8:36:04〜9:51:42〜9:54:20〜11:20:52
しかしあまり名前の知られていない北マルク州東ハルマヘラ県のマバの町では皆既日蝕が
3分20秒持続し、最長ピーク時間の栄冠を獲得している。

一方、皆既日蝕が通過する線からはずれた地方では、太陽が三日月状になる部分蝕が観測
された。
都市名 : 開始時刻〜ピーク時〜日蝕終了(時刻はローカルタイム)
メダン: 6:24:41〜7:22:27〜8:27:38
ポンティアナッ: 6:23:09〜7:27:10〜8:40:31
マナド: 7:34:05〜8:49:07〜10:15:11
ジャカルタ: 6:19:51〜7:21:32〜8:31:42
スラバヤ: 6:21:24〜7:25:56〜8:39:42
マカッサル: 7:25:22〜8:34:50〜9:54:37

この時の皆既日蝕をインドネシア政府はツーリズム振興の好機と捉えて、大々的なプロモ
ーションを行った。旅行業界観光業界もそれに促されて大いに沸いた。2千から5千米ド
ルのパッケージツアーも早々から売り出された。ただまあ、皆既日蝕通過ラインにあるす
べての町々が一様に観光分野のインフラを既に十分備えていたわけでないのだから、明暗
が分かれたとも言えるだろう。

日蝕ツーリズムの焦点になる各地で政府はできるかぎりのインフラと観光客受入れの整備
を行った。ホテル業界・宿屋業界・民宿・レストラン・食堂・ジャカルタから各地への交
通・現地での交通・通信・等々だ。インドネシアホテルレストラン会会長は、皆既日食が
通過する12州のトータルキャパシティは十分だが、地域差があって余る所と不足する所
ができそうだ、と2月6日に語っている。

各州政府も訪問する外国人観光客数の読みを入れ、パル市は5千人、バンカ島も5千人、
テルナーテは2千人、といった数字が把握された。これは旅行代理店やホテル業界が受け
た予約を踏まえた数字で、テルナーテでは1カ月前の時点で1千7百人の予約が入ってい
るため、2千人を超えるのは確実と判断された。しかしテルナーテの稼働客室総数は1,
507室あることから、余裕はまだ十分あるということで関係者の意見は一致している。
もしも客室がフルブッキングになれば民宿を勧める体制が作られており、その場合の料金
も政府が指定する価格になっている。

パランカラヤにはホテルが46あって客室数1,722が用意されている。2月初の予約
状況は25〜30%程度で、ドイツ・米国・日本・イギリス・オランダからの観光客がメ
インを占めているそうだ。一方バリッパパンにはホテルがたくさんあり、76ホテル客室
総数5,361というのがその時の最新データだった。バリッパパンでの皆既日蝕持続時
間は短いため観光客があふれることはなさそうで、3月9日の客室稼働率はせいぜい7割
くらいだろうと地元業界者は見ている。[ 続く ]