「世界を揺さぶったスパイス(終)」(2024年07月16日)

バンカブリトゥン州では森林の伐採によってガハルの樹が急激に減少した。昔から自然林
の天然ガハルが収穫の対象になっていて、植樹はほとんどなされていなかった。1990
年代終わりごろは天然のガハル母樹が980本あったというのに2010年代初めごろに
は150本しか残っていないと報告されている。


カリマンタンのダヤッ族の間では先祖伝来の知恵が残されている。ガハルの樹にグバルが
たくさんできるようにするために、かれらは微生物に冒された部分に砂糖と油を塗る。微
生物に栄養素を与えてガハルの樹をより強力に冒すように仕向けるためだ。自ずと樹も防
衛力を高めようとして樹脂がより多く分泌されることになる。

西カリマンタンで行われているガハル林作りではゴム農園で1ヘクタール当たり7百本の
ガハル母樹が植えられている。ガハル樹が三歳になるとホルモンを幹に注入し、三年間か
けてグバルを生成させる。一本の樹から平均3キロのグバルガハルが採集されるので、毎
年の相場次第ではあるものの、その1ヘクタールでおよそ8年間に100億ルピアを超え
る収入が上がる計算になる。


ロンボッ島ではリンジャニ火山の森林地区で植樹されたものが生産量の多くを占めている。
ロンボッの森林で育ったガハルの樹は他地方の樹より葉が細い。そしてそんな樹が作り出
すガハルは他地方のものより品質的に優れており、できるグバルもスーパー級のものにな
るとのことだ。[ 完 ]