「ムラユの大河(終)」(2024年09月25日)

言うまでもなく、ジャンビ州庁は観光振興の意欲を昔から抱いてきた。この町を訪問する
ひとびとのためにジャスミン級から4つ星級まで種々のホテルが用意され、ジャカルタか
らのフライトも毎日何便も運航されている。ところが国際的な観光案内はおろか、全国レ
ベルの観光案内にすらジャンビの名前はなかなか登場しない。

バタンハリ県庁は米国のミシシッピ川を走る観光遊覧船に倣って、船尾の水車で動く蒸気
船を1990年代半ばにバタンハリ河に浮かべ、河の遊覧娯楽を提供した。億ルピア単位
の予算を使って購入したユニークな船だったというのに、地元民からさえあまり人気が得
られず、お披露目や県の公式行事で何回か動いただけで、1990年代末には繋留船の立
場に落ち込んでしまった。

ジャンビの町中にある旅行代理店でさえバタンハリ河水上遊覧の商品を持っていないのだ
から、観光遊覧船企画が失敗するのも当然だったようだ。だが、ジャンビの町を訪れた者
に水上遊覧のチャンスはないのかと言うと、決してそんなこともない。ケテッからスピー
ドボートに至るまで、持ち船を賃貸しする船主は大勢いる。観光客が自分で船をチャータ
ーすればいいだけの話なのである。


もしもジャンビの町に泊まってムアロジャンビ遺跡を見に行きたいなら、ケテッをチャー
ターして河を往復するのがお勧めだとコンパス紙記者は書いた。スピードボートではゆっ
くりと河岸を眺めることができない。地元民が住んでいる水上家屋、製材所やゴム処理所、
ルトゥンをはじめとするサルたちからオオトカゲ、珍しい鳥たちの姿が河岸に見え、丸太
を積んだ船が併走する。水上家屋の中には、伝統型スピードボートを製造している姿を見
せてくれるところもある。90分の船旅で得られるその楽しさは、時間に追われていない
かぎり、十分な価値をもたらしてくれるものだ。

ジャンビの町からムアロジャンビ遺跡への行き方が三つあるとコンパス紙は語る。ひとつ
は10〜20人乗れるケテッを使う方法。二つ目は二輪または四輪自動車でクンペフル〜
タランドゥク〜クミンキンの25キロ区間を走り、クミンキンでひとり1千ルピアの渡船
に乗ってムアロジャンビに達する方法。三つ目が四輪二輪でバタンハリ橋を通って河の北
岸に渡ってからムアロジャンビに向かう方法だ。河を渡ってから北側のシティリス村まで
行き、そこから右に折れてジャンビクチルを超え、ムアロジャンビまで45分かけて進む。
たいていの観光客はこの三番目のルートを使っている。ムアロジャンビ遺跡についての詳
細は拙著「ムアロジャンビ遺跡」をご参照ください。[ 完 ]