「大郵便道路(83)」(2025年04月15日) < スマラン Semarang > ウレリから20キロほどでクンダルのアルナルンに達する。国道1号線のこの部分は大郵 便道路だったに間違いないだろう。なにしろ、クンダルのアルナルンと大モスクの間を道 路が通っているのだから。夜にそこを通ったときは、大モスクが煌々たるライトに照らさ れて堂々たるランドマークになっていた。 クンダルの町の中心部は広い道路と余裕のある空間がドライバーの心を和ませてくれる。 いまクンダルはスマランで消費される魚類海産物の大供給地だそうだ。 クンダルの中心部からスマラン市の町はずれまでは十数キロの距離だ。スマランの町の西 部は30キロにわたって海寄りの湿地帯になっていたため、大郵便道路はそれを避けてス マラン市街の南部に向かった。道路は南東方向に少し湾曲させて、町の中心部よりもっと 南寄りの位置で町を貫通したとプラムディヤは書いている。 現在の国道1号線は市内北部のスマラン港の南縁を通り、市域を出るとそのまま東方のド ゥマッに向かう。どうやらスマラン市内でも大郵便道路と国道1号線はオーバーラップし ていないようだ。 国道1号線はスマラン市域に入る10キロ手前にあるKaliwunguの町を北に迂回するバイ パスになっており、カリウグの街中を通る旧街道と町はずれで再び合流し、スマラン動物 園エリアを通ってスマラン市街に向かう。 スマラン市街の辺縁部に入ってしばらく走ると、スマラン市街の南側を巡ってスマラン市 街北東端で国道1号線に合流するバイパス自動車専用道があり、自動車道に入る分岐路が クラピヤッにあるので、わたしはいつもクラピヤッで国道1号線から離れた。 地図を見ると、国道1号線はそのまま市内に入って行き、Aヤニ空港の南方で北上してス マラン港の南縁を東に抜け、そのまままっすぐ東に向けてドゥマッを目指している。 スマランからドゥマッに向かう大型道路はスマラン市域北東端からほぼまっすぐドゥマッ に向かう国道1号線しか見当たらず、一度南に下がった大郵便道路はスマラン市内をその 位置までまた北上しなければならなかったはずだ。スマラン市内を大郵便道路がどう走っ たかは、道路があまりにもたくさんあってわたしの推測能力を超えている。 クラピヤッで入ったバイパス自動車道は高原部のジャテイガレで北のスマラン港東端と南 のスマラン県スロンドルの高原部を結ぶ自動車道に合流する。その分岐点に達するまでの 間、自動車道はスマラン市街南部にある山岳部を踏破する。勾配が緩急織り交ぜて続く登 攀路を延々と走らされるのだ。急勾配になる区間は例外なく片側二車線が三車線に増やさ れていて、速度を維持できない車両がそちらに誘導される。しかし渋滞が起こるとそんな ことはおかまいなしになり、三車線全部が車で満ち溢れる。 南北方向の自動車道に接続する地点で北に向かえば、北側ターミナル料金所を出たあと国 道1号線につながるので、右折してドゥマッに向かうことになる。反対に南に向かえば、 スマラン市内中心部のシンパンリマから下ってきたウガラン〜サラティガ〜スラカルタの 街道にスロンドルで接続するのである。 その接続地点のインターチェンジで表示板を見逃したドライバーが北からやってくる車線 と合流するためのゼブラゾーンでフリーズ状態になっているのをわたしは1〜2度目にし たことがある。類似の例はあちこちで起こっており、チカンペッ自動車道の比較的交通量 の多くないエリアでは、料金所から入ったあと合流路を間違えた車が分岐点までバックで 戻っていくのを目にしたこともある。 インドネシアでは、交通法規を守っていれば安全ということにならないのだ。周囲の状況 を観察し、行動のおかしい車があればその運転者が何をしたがっているのかを推察して次 に行われるであろう行為を予測することも自分の身を守るための重大な対策になる。交通 法規を遵守するだけではわが身を守ることができない。街道を逆走してくる大型バスに直 面して、相手がよけると思って自分が逃げなかったために生命を落とした日本人運転者の 話をわたしは聞いている。 ジャテイガレから、初めは北に向かって走ったわたしは、国道1号線スマラン〜スラバヤ 区間の道路状態のひどさに懲りて、結局南向きを常道にするようになった。[ 続く ]