「元恋人が友人になる?(前)」(2025年05月24日) ライター: コラムニスト、サムエル・ムリア ソース: 2010年10月17日付けコンパス紙 "Unta" パチャラン関係を断つことを決めた友人のひとりと電話で話し終えた直後にSMSが入っ た。勤勉にメッセージを送ってくれるこのファッションデザイナーの助手はわたしにとっ て、まるで創造主の代弁者みたいだ。かれが送って来るメッセージはいつも、わたしがそ の時に直面している問題にピッタリ当てはまるものばかりなのだ。かれのメッセージはこ うだった。 Relationship is not about how much love you have in the beginning but how much love you build till the end. わたしの友人が今のパチャルとの関係を断とうと決めたのはどうしてか?かれはもうかの 女を愛していないからだ。お互いのコミュニケーションのやり方に、恋愛時代を送るお互 いのやり方にかれはうんざりしている。かれが言うには、ふたりでその解決方法を探す努 力をしたものの、明るい未来が見えてこないのだそうだ。 なんで最終的に別れることを決意する人間がいるのかということを今のわたしは理解して いる。人間は時に、相手の振舞いにうんざりして愛することをやめる意志が湧きおこるこ とがある。最初の愛が時と共に薄れていくからだ。相手の姿を目にしても少しも情熱が湧 いて来ず、時の流れと共に愛が風化して行くのである。 わたしは昔、人間というものは一度相手を愛したら死ぬまでそれが続くと思っていた。そ んな考えを持ったのは、自分の両親の結婚生活が目の前にあったからだ。それだけでなく 友人たちの60代以上の両親のケースもその印象を強めることに力を添えた。中には、夫 が老齢にもかかわらず不倫相手を持ち、それどころか不倫相手を公然と囲っているという のに離婚しないケースも含めて。 わたしの両親の世代が厳しいと言われている昔の教育を受けたせいで、一度結婚したらあ とは死ぬまでという教えを脳の中に刻み込まれたのがその原因ではないかと当時のわたし は考えていた。好きとか好きでないとか、愛しているとかもう愛していないなどというこ とについては、口を閉じるだけだ。 特に女性にとってはそうだ。だから愛について議論したり問題にしたりすることなど何も なしに、子供を産み育てて孫ができ、ひ孫ができ・・・、結婚生活は安泰に続く。大切な のはそれなのだ。相手にうんざりする気持ちは、もしも相手が大金持ちで世界一高いハン ドバッグを買ってくれたり、ダイヤモンドを束にしてプレゼントしてくれたり、何ヘクタ ールもある家をくれるなら、覆い隠すにかぎるのだ。 われわれのパチャラン関係をもうやめようとわたしの友人がかの女に告げたとき、かの女 が最初に口に出した言葉は「別のひとを好きになったんでしょう?」だった。かれは当惑 してその会話を打ち切った。原因が内面にあるというのに、なんで最初に外部にある理由 を想定するのだろうか。 劣る部分を自己の内面にいろいろと抱えているにもかかわらず、人間はなぜそれを認める 勇気を持たないのか。人間関係が饐えたものになったというのに、最初に頭に浮かぶのが 第三者の存在だ。まるでふたりを取り巻いている外の世界に、ふたりの間に起こるあらゆ る問題の原因が横たわっているみたいじゃないか。 わたしの友人はふたりの会話の結末を物語った。最終的にかの女はパチャランをやめるこ とに同意したものの、カウンター提案を出してきた。「じゃあ、わたしたちは友人関係に なるのね?」 [ 続く ]