「続々・借用語の作り方」(2025年05月28日)

ライター: マナド国立大学言語芸術学部教官、Rトゥオリウ・マガングエ
ソース: 2014年8月16日付けコンパス紙 "Ekonom atau Ekonomis?" 

インドネシア語の語彙には全国の地方語から摂取した以外に外国語から入ったものもある。
インドネシア語に摂取された外国語の多くは英語とオランダ語だ。英語でmusician、オラ
ンダ語でmusicusという言葉はインドネシアでmusisiになった。英語のpolitician、オラ
ンダ語ではpoliticusという言葉はインドネシアでpolitisiだ。英語のlegislator、オラ
ンダ語でlegislatuurの場合はインドネシア語がlegislatorだ。外国語を摂取する場合に
インドネシア人は英語に対するオリエンテーションが他の言語に比べて高いようだ。しか
しそのオリエンテーションが一律であるというわけでもない。

昔、インドネシア語にはspirituil, insidentil, komersiilのように語尾が-ilになって
いる形容詞があった。それらは、spritueel, incidenteel, commercieelなどのような、
語尾が-eelあるいは-ieelのオランダ語形容詞から摂られたものだ。だがそれらのインド
ネシア語形容詞はもう使われなくなった。借用語のオリエンテーションがオランダ語から
英語に移行したからだ。

昔、われわれはオランダ語に由来するlegalisir/melegalisirのような語尾が-irになって
いる動詞を使っていた。それに対応するオランダ語はlegaliserenだ。その他にも、たと
えばkoordinir/mengoordinir(coordineren)もそうだ。ところが英語オリエンテーション
に移行したために、語尾の-irは-sasiまたは-isasiに取り換えられ、その結果legalisir
はlegalisasiに変化した。名詞のlegalisasiは英語のlegalizationに対応し、動詞の場合
のmelegalisasiは英語のlegalizeに対応している。動詞mengoodinirはmengoodinasiに替
わった。

ところがオランダ語由来の名詞で、語尾が英語オリエンテーションの影響を受けていない
ものがふたつある。astronom(オランダ語はastronoom、英語はastronomer)とekonom(オ
ランダ語はeconoom、英語はeconomist)だ。インドネシア語に人間・行為者・専門家など
を示す接尾辞-erは存在しないから、astronomerを使うわけにいかないのは明白だ。しか
し経済専門家をインドネシア語でekonomisと呼べる可能性は検討されてしかるべきだろう。
オランダ語にもeconomistはeconoomの同義語として存在しているのだ。

反対意見として多分「金銭・物資・時間・言葉などを乱費しない・倹約節約・無駄を省く」
などを意味する形容詞のekonomisが既に使われている事実が指摘されるのではないかと推
測される。

しかし複数の語義を持つ語彙が会話の中で使われたとき、人は第一の語義か第二の語義か
ということを考え込んで会話がしばらく途絶えるものなのだろうか?

これはインドネシア語に問題があるのでなくて、英語のほうがおかしいのだ。英語は人間
・行為者・専門家を示すのに接尾辞-istが使われるので、idealist, egoist, linguist, 
pessimistなどが人間を表す。形容詞はidealistic, egoistic, linguistic, pessimistic
になる。

ところがeconomistが形容詞に変わるとeconomisticでなくてeconomicになるのはどうして
か?言語というのはそういうものなのだ。法則があるようでも、例外も限りなくある。

英語には人間・行為者・専門家を示す接尾辞として-istがあり、その形容詞に-icがある
ことを理解したわれわれがそれを応用してもおかしいはずがあるまい。

われわれは既に英語オリエンテーションの態勢に入っているのだから、過去の時代にオラ
ンダ語を摂取するために用いていた方法を使い続けるような後ろ向きの姿勢は無用ではな
いだろうか。われわれはekonomでなくてekonomisを経済専門家の意味で使おうではないか。
そして形容詞にはekonomisでなくてekonomistisを使うようにしよう。