「遊びの伝統(5)」(2025年11月05日)

日本の「石蹴り」に似ている遊びがsondah, sonlah, engklekなどという名前で呼ばれて
いるもの。まず、つながった箱を地面に描き、数字を記入する。1の箱の上に2と3の箱
を左右繋げて描き、その上に4の箱、その向こうに5と6の箱を左右繋げて描き、最後に
7の箱を描く。

最初のプレーヤーが自分の石を1の箱に投げ入れる。石が箱から出たらアウト。競争相手
の動きを妨害するために次のプレーヤーが自分の石を別の箱に投げ入れる。妨害者は隣接
する箱に自分の石を投げ入れて跳ぶ距離を長くさせようとするのが普通だ。

最初のプレーヤーは石のない箱を左右どちらかの片脚で跳びながら数字の順に通過して端
まで行き、そのまま体の向きを変えてまた片脚で跳びながら下って来る。戻り道でも石の
入っている箱を跳び越えなければならない。そして自分の石の手前の箱まで来たら、片脚
のままで石を拾ってから1の箱に入り、そうしてスタート地点に戻る。その道程で箱の線
から外に出たり両脚が地面に着けばアウトだ。

最初のプレーヤーは2回目の番になったら、今度は2の箱に自分の石を投げ入れてびょん
びょん跳びを開始することになる。このルールは石を投げ入れてケンケン跳びをするだけ
なので、日本の「石蹴り」とも異なり、また「けんけんぱ」にもならない。


sorodot gaplokというのは離れた場所に置いてあるターゲットに石をぶつけて倒すスンダ
地方の遊びだ。スンダ語のソロドッは発射する、ガプロッはぶち当てるを意味している。
ただし発射するのは自分の石で、それを足の甲に置いて発射するのである。標的は敵の所
有する石であり、それにぶち当てて倒せば発射者の勝ちになる。この遊びは同じ人数の二
組がチームを組んで対戦する。まず先攻後攻が決められる。

その前に参加者はそれぞれが自分の石を持つ。なるべく扁平で地面に立てられるものにし
なければならない。地面に線を引き、後攻チームがターゲットとして自分の石を、何かが
当たれば倒れるような形で線上に置く。その線から3〜5M離してもう一本攻撃者用の線
を引く。先攻チームメンバーはひとりずつ、足の甲から自分の石を発射する。その際に助
走をつけても構わないが、二歩までとされている。

自分の石が敵チームの石に当たって標的が倒れたらオッケーだが、当たらなかったらどう
なるのか?当たらなかった者にはもうワンチャンスが与えられる。プレーヤーは自分の石
が落ちた場所まで行って、違う姿勢でもう一度トライするのである。股のぞきの姿勢で自
分の石を標的目掛けて投げるのだが、今度は両手を使って投げなければならない。


昔の日本の学校の運動会で高学年生が行っていた騎馬戦とまったく同じものをバリ島のブ
レレン県バニュニン村のひとびとが行っている。ヒンドゥ教の祝祭を終えたあとで、コミ
ュニティが娯楽としてこの対戦ゲームを行う。4人一組で三人が馬を組み、ひとりが騎士
になって上に乗る。騎士はヤシの葉で作った冠を頭にかぶり、そこにニワトリの羽をひと
つ指す。そして二組の騎士が相手のニワトリの羽を取り合うのである。羽を取られた者が
負け。あるいは騎士が馬から落ちても負け。

日本の運動会ゲームとしての騎馬戦は明治時代に始まったとされている。それが日本軍政
期にバリ島に伝えられた可能性が感じられるとはいえ、もっと後の時代に誰かがそれを教
えたのかもしれない。しかしバリ島の他地方ではあまり行われていないようだし、インド
ネシアの他州へ行けばなおさらのようだから、インドネシアにも同じものがあるという言
い方は慎むべきかもしれない。

ブレレン県バニュニン村ではこのゲームがmejaran-jarananと呼ばれている。jaranという
言葉はジャワ語で馬を意味しており、多分それがバリ語に入ったものと思われる。[ 続く ]