「バリ島観光(終)」(2025年11月24日)

バリ島の人口増加と登録車両台数の激増、フェリー航路のおかげでジャワやロンボッから
自分で車を駆ってバリ島に乗り込むことの容易さ、道路インフラの整備拡張の遅れ、公共
交通機関の不足といった諸要因の結果、バリ島ツーリズムの、そして言うまでもなくバリ
人の日常生活における移動の便は大きい困難にさらされている。観光地・行楽地周辺に発
生する交通渋滞はすさまじく、終日渋滞の継続する場所もある。

バリ島ではヤシの木より高い建物を建てることが禁止されている。おまけに街中にあるプ
ラ(寺院)を移転させることも禁止されている。人口密集地区にはプラがあちこちにあり、
狭い道路の拡張を阻んでいるのだ。古い住宅地区の道路は四輪車がすれ違えないほど狭い
ものも少なくない。道路幅が一定していない道も少なからずあって、初めて通る道路はい
つもわたしを不安の中に投げ込んだ。狭まった場所に直面してキジャンのサイドミラーを
こする事故をわたしは何度も体験している。


バリ島ツーリズムのセンターになっている南部地区の公共大量輸送機関不在への対策とし
て2011年に州政府がTrans Sarbagitaバスの運行を開始した。しかしサルバギタが意
味しているDenpaSAR BAdung GIanyar TAbananを網羅するネットワークはいまだに実現し
ていない。

運行が開始されたころは、大人の乗車一回当たり3千5百ルピアで学生証を提示すれば無
料という信じられないような料金だったが、デンパサルの街中でやっと座席が6割程度埋
まるだけで、バイパス走行中の車内はいつもガラガラだった。無料のはずの学生すら車内
をいっぱいにする様子が見られなかった。2024年5月に料金が4千4百ルピアに値上
がりしている。

それとは別に2020年からTrans Metro Dewataという民間バスが運行を開始した。一度
2024年に閉鎖されたものの、2025年4月から再開されている。こちらの運行ルー
トはサルバギタをカバーしており、南部地区からウブッまで乗客を運んでくれる。料金は
一回の乗車が4千4百ルピアで、現金は受け付けてくれない。わたしは乗ったことがない
が、いつもガラガラだというのがバリ人のコメントだ。

そうして事態は行き着くべきところへと進展して行ったのである。最終的に、バリ島南部
地区に地下鉄を走らせる計画が浮上した。2023年にはその計画が州政府と中央政府間
で協議され、当時のジョコウィ内閣が承認を与えている。

最重要路線であるバリ国際空港とクタ中央駐車場Sentral Parkir Kutaを結ぶ工事が最右
翼と位置付けられて、2024年9月4日にグランドブレーキング式典がセントラルパル
キルで行われ、工事は既に開始された。クタ中央駐車場というのは元々大型バスで遠方か
らバリ島観光に来た団体がクタビーチで遊ぶ間、大型バスを駐車させる場所として設けら
れたものだったようだ。この駐車場とクタビーチを結ぶ中型シャトルバスが極彩色の開放
的な姿でその間を往復している。駐車場に隣接して商店や飲食店の集まっているブロック
があり、インテリア雑貨店Ikeaが駐車場から近い場所にある。


計画されている地下鉄路線はクタ中央駐車場からクタビーチを経由してスミニャッに向か
い、更にチャングーまで延長される。昔のパンタイクタ通りは平日の真夜中以外は渋滞が
当たり前の道路だったが、往年のバリ島ツーリズムの目玉のひとつだったクタビーチは徐
々に観光客離れが起こり、今ではチャングービーチにお株を奪われたと評する声が強くな
っている。チャングービーチ近辺の道路は一日中大渋滞だそうだ。クタ地区のホテルは宿
泊料金が下降傾向にあるという声も聞こえている。

それが第一フェーズで、完成予定は2028年。第二フェーズはバリ国際空港からジンバ
ランに向かい、ウダヤナ大学キャンパスを通過してヌサドゥアに至るルート。第三フェー
ズはクタ中央駐車場からススタンに向かい、レノンを経てサヌールに至るルート。そして
第四フェーズがレノンから分岐してスカワティに向かい最後にウブッに達するルートだ。
この地下鉄は24時間運行で10分置きに発着する計画になっている。[ 完 ]