「葉巻(4)」(2025年12月14日) 5星級ホテルにある昔からのシガーラウンジが高品質高級品に焦点を当てていたのと異な って、ミドルクラス向けは焦点を普及品に向けなければならないのだ。品質や知名度にも 配慮するとはいえ、価格が大きい購入決定要因になるのだから。だからと言って、たった 一本の葉巻が数万から数十万ルピアほどの価格帯にあるこの商品がアイスクリームやミア ヤムのように売れるわけがない。 ところがそんな特徴であればこそ、葉巻というもののイメージと権威が、いやが上にも高 まるのである。エスタブリッシュ階層に成りあがった夢を一時間ほど感じさせてくれるな ら、精神の慰安剤としてそのくらいの金額は安いものかもしれない。2008年ごろコニ サーでは一本が4万から30万ルピアの商品が販売されていた。 コニサーにしろモジートにしろ、不可欠なキューバ産の葉巻も一本20〜30万ルピアで 販売されている。輸入品は他にもオランダやドミニカあるいはスイス産のものまであるし、 国産品ももちろん商品レンジの中に置かれている。ジャルム社製Dos Hermanosやウィスミ ラッ社製RobustoあるいはClasicoなどといったものだ。 葉巻にも、細い物太い物、小さい物大きい物、味の軽い物重い物といったバリエーション が存在する。初心者は軽い物から始めるのが普通だ。ミドルクラス対象の普及センターの 役割を担ってモールに登場したシガーラウンジで、ビギナー客は店員にあれこれ相談する。 だからたとえ一介のウエイトレスであれ、二ガルを妥当なレベルまでマスターしなければ 良き店員にはなれないのである。 葉巻の中には女性向けのものもある。女性の葉巻ビギナー向けの中には、シガレットより 少し太めで長さもより長いもの、更にはフィルター付きのものまで作られている。もちろ ん価格も一般的な葉巻より廉価だ。 二ガル初心者が慣れてくると、最初は廉価な国産品で始まった葉巻ファッションだったに もかかわらず、国産品はもうお呼びでなくなるひとが多い。マフィアのボスたちとインド ネシア産の葉巻はかれらのイメージの中でマッチしないのだろう。ところがエクスパット たちの間ではインドネシア産の葉巻にけっこう人気がある。一時帰国の際にドスヘルマノ スを買い込んで、故郷でお土産に配っているひともいるらしい。 そんなトレンドのおかげでインドネシアにも葉巻愛好者が増えてきた。ホテルグランドハ イヤットにオープンしているハヴァナ葉巻ハウスの女性オーナーは、誕生日やヴァレンタ インデーのプレゼントに葉巻を贈ることが行われるようになったと述べている。 「うちの常連客のお子さんが父親の誕生日プレゼントにしたいからと言って、父親の好み の銘柄を尋ねて買って行きましたよ。」 スナヤンの議員さんたちからアーチストや実業界セラブリティまでがこの店の常連客にな っている。一番人気が高いのはキューバ産で、一本15万から45万ルピアのコイバが一 番足が速いそうだ。一本10万から30万ルピアのモンテクリストにも人気がある。 オーナー自身も一日に最低2本は吸っていると言う。昼食のあとにコーヒーを飲みながら くゆらせるのが習慣で、他には客と一緒に吸うことが多い。かの女はキューバ産とドミニ カ産が好みだそうだ。しかしコイバロブストのようなヘビーなものはついて行けないと言 う。頭痛と吐き気がしてくるとかの女は正直に打ち明ける。 「二ガルは愉しみながら行うのが基本です。わたしに一番合ってるのはメディアム。軽い ものは味が感じられなくて空気を吸ってるみたいだから。メディアムだと二本目につなが りますからね。そのときにもうちょっと重いものを吸いたい気分になれば、それに合う銘 柄を二本目に。わたしの好きなメディアムの銘柄はドミニカ産のサンタダミアナベリコソ、 コイバピラミッド、モンテクリストエドムンド。」 二ガルはゆっくりとリラックスして愉しみながら吸うのが大切だとかの女は主張している。 昼はコーヒーを、夜はワインを飲みながら、1〜2時間かけてゆっくりと葉巻を灰にする のがかの女の二ガルスタイルだそうだ。しかしあまり時間の余裕がないときは、サンタダ ミアナショートを15分で吸い終える。[ 続く ]