「人生相談・其四」(2026年02月12日) 結婚生活25年のインテリ夫妻があります。3人の子供たちはみんな健康で、学校の成績 も優秀です。このカップルは9年間の交際の末に、お互いにこの相手ならうまくやってい けると確信して結婚しました。ふたりの家庭生活は妻が強くて夫が妻に従属的な形でおよ そ23年間営まれてきました。妻の方が厳格に家庭生活を取り仕切り、夫は夫婦間の諍い を避けることを重視して、妻の態度に従おうとするのです。 「喧嘩騒ぎを起こすくらいなら、自分は黙る方を選びます。両親が喧嘩ばかりしていたら 子供が可哀そうですよ。」と夫は述べています。その夫の姿勢によってこの家庭の周辺環 境にいるひとびとはその夫婦を理想的なカップルであると評価していました。一家がいつ も仲良く暮らしている結婚生活の成功者だと周りから見られていたのです。 妻も夫の姿勢に疑問を抱き、ときどき夫に批判を投げかけていました。「何でもかんでも わたしが決めるんだったら、あなたがここにいる必要はないわ。離婚したら?」 それは言うまでもなく、夫の積極的な協議姿勢を引き出すための言葉の綾です。ただしそ の協議の中で性格の強い妻との間に口論が起きることに夫は不安を抱いていたのです。外 見上で円満な家庭を夫はそんな姿勢で維持していたのだから、自分の姿勢が離婚の原因に なるのはあり得ないことと考えていました。 ところが23年間にわたって周囲に示してきた夫婦生活の鑑という姿は自分自身への抑圧 の賜物であり、妻に対する愛情もいつしかその身勝手な姿勢への憤りに変化していること を夫が覚ったのです。夫はこれまで思ってもみなかった精神的な疲労に打ちのめされ、こ んな生活はもう終わりにしようと決意しました。 自分の夫はこれまで偽りのない自然な姿を示しているものと思っていた妻は突然言い出さ れた離婚話に驚きました。妻は夫がこれまで内面に秘めていたものにまったく気付かなか った点を詫び、これからは自分の態度を変えるから思い直して欲しいと涙ながらに訴えま したが、妻にうんざりしてしまっている夫は妻の性格から見て、妻が自分の従来のスタイ ルを変えても続くのはほんの数日間でしかなく、そのうちすぐに前のスタイルに戻るだろ うと考え、心を動かしません。[ 続く ]