「労働蔑視(1)」(2026年03月01日) インドネシアは休みが多いという国際的な噂がある。その真偽はカレンダを見れば判るだ ろうと考えて実際に数えてみたら、2025年の土日と国民の休日および公務員一斉休暇 の日数は127日に上った。つまり労働日は238日だ。 2024年も同じ127日だった。カレンダには126の非労働日があり、昨年は国民総 選挙の年だったために2月6日の投票日が国民の休日になって一日増えたのだ。昨年はう るう年だったから、労働日は239日あった。今年の労働日は昨年より1日少ない。 2023年はどうだったろうか?休日は119日で労働日は246日だった。この3年間、 インドネシアの労働日は減少を続けていると言うことができる。 では非労働日数の国際相場はどんな感じになっているだろうか?日本の土日と休日の数を 2025年カレンダで調べたところ、119日だった。同じようにして世界の主要国を眺 め渡すと、中国117日、韓国122日、米国116日、イギリス110日、フランス1 14日、ロシア118日、フィンランド112日、デンマーク114日、オーストラリア 110日、ニュージーランド115日、サウジアラビア111日、トルコ117日、南ア フリカ115日、ベトナム116日、マレーシア116日、タイ125日というのが非労 働日であり、インドネシアはタイに追いすがられながらかろうじてトップを走っている。 やはりインドネシアは休みが多いのだ。 上の数字はわたしが各国のカレンダーを開いて数えた数字であり、ひょっとしたら数え間 違いがあるかもしれないので、その点はご容赦をお願いしたい。しかしまあ、間違ったと してもひとつふたつだろうから、わたしが引こうとしている結論には影響しないと思われ る。特にタイは何度も念入りに数えたから間違っていないと思う。 インドネシアは世界で有数の労働嫌悪民族であるという噂もある。国民のその性向を熟知 している政府が国民福祉を目的にして非労働日をたくさん用意してやっている結果がイン ドネシアを上の十数カ国中のナンバーワンにしたのだろうか?それはよくわからない。 国民の選挙権の行使である選挙投票の日が国民の休日になる国は世界にどれほどあるのだ ろうか?インドネシアでは日曜日に選挙投票が行われたことがないそうだ。インドネシア 共和国が国民投票を開始して以来、投票日はいつもウイークデーになっていて、その日を 大統領が国民の休日にするのである。 日曜日は休みの日なのだぞ。休みの日に国が国民に投票所へ行って投票仕事をしろと言う のか?報酬も与えずに?そんなことをすれば投票率は真っ白けになるに決まっている。と いう議論がなされた可能性は邪推して余りあるように感じられる。とは言うものの、公式 原則として総選挙法に「全国民が投票権を行使しやすい曜日に配慮して投票日が決定され る」ということが謳われているのだ。つまり国民感情として、日曜日は投票所へ行きにく い日である、という一項がそこに鮮明に謳われているのではないだろうか? 現実の総選挙投票日決定メカニズムとしては、国家総選挙コミッションが次の総選挙の2 年前に行う全体スケジュール組みの中で投票日の日程が提案され、コミッションはそれに 基づいて準備を開始する。そのときに投票日がウイークデーに振り当てられるのは不文律 になっているようだ。 いざ総選挙の年がやってきたとき、大統領がスケジュール進行状況を確認し、問題なく実 施できる点の押さえをした上でその計画日を大統領決定書で確定させ、国民に布告すると いうプロセスになっている。 言うまでもなく、大統領決定書はその投票日が国民の休日になることを同時に表明し、実 業界に対して従業員が投票できるように最大限の便宜を図るよう求めるのが昔からの定例 的な内容だ。[ 続く ] * この作品は2025年に書きかけて年を越してしまったので、アナクロニズムになって いる点をご容赦ください。 - 筆者詫言