「ナトゥナ観光」(2018年09月28日)

最果ての島々、ナトゥナ諸島(Kepulauan Natuna)はリアウ島嶼州の最北端にある。面積
3,235平方キロの海に浮かぶ大小272の島々はナトゥナ県を構成し、南シナ海を隔
ててシンガポール・ベトナム・マレーシア・フィリピン・中国の諸国に取り巻かれている。

透明な海と白い砂浜、そして花崗岩の巨岩が連なるユニークな風景は価値ある観光資源の
存在を示している。更に海中には豊富なサンゴ礁や沈没船の残骸が横たわっていて、海中
観光が開発されるのを待ち受けているようだ。

スリウィジャヤ王国の隆盛期、ナトゥナ諸島は南シナ海を往来する交易船の重要な寄港地
となり、当時の重要な交易品だったスパイスや絹の通商ルートの一環をなしていた。ナト
ゥナ海域に沈没船が多いのは、いかに多数の船がそこに集まって来ていたかを示す証明に
なるだろう。

もっと近い時代のものとしては別名スカルノ船と呼ばれたジュダヤッ(Djedajat)号で、こ
の船は東部インドネシアの海を頻繁に航行してインドネシアはジャワとスマトラだけでな
いことを世界にデモンストレーションした。この船は海面からわずか5メートル下にあり、
水が澄んでいるため海上からでも見ることができる。

ほかにも1955年4月11日に墜落したエアインディアのカシュミルプリンセス号があ
り、西ジャワ州バンドンで開催されたアジアアフリカ会議に出席する代表団を運んでいた
途中での事故となった。


ダイビングやスノーケリングを主体にする海洋観光はこれからナトゥナが開発していくべ
き観光資源だが、ナトゥナの観光産業を盛り立てるための障害と見られているのは、航空
料金の高さだ。なにしろタイやマレーシアへの往復チケット代よりはるかに高いのが現状
になっている。現在ナトゥナへのフライトは大型航空会社が二社、バタム経由でナトゥナ
まで飛ばしている。その片道料金だけで百万ルピアをゆうに超えている。

ナトゥナ島にはアリフストーンパーク(Alif Stone Park)と名付けられたリゾートがあり、
宿泊は民宿だが、白い砂浜、滑らかな花崗岩の巨石、透明な海、カフェ、魚やウミガメが
泳ぐ浅瀬、海に沈む夕日などを楽しむことができる。カフェにはかつて近くの浜に打ち上
げられたクジラから作った骨格標本が展示され、また遊具やカヌーなども用意されていて、
家族連れのホリデーにも対応してくれる。

また近隣の島を訪れてのトレッキングやウミガメ観察などのアクティビティも、海中観光
とは別に楽しめるようになっている。