「文字と記号(前)」(2018年10月17日) ライター: インドネシア大学文化科学部教授、デポッ在住、アヤトロハエディ ソース: 2005年9月16日付けコンパス紙 "Aksara dan Lambang" 言語コミュニケーションに使われる文字は特定の音や意味を表す記号だ。中国語では最初、 文字システムに意図を表す絵が用いられた。表意文字だ。古代エジプトのヒエログリフも 同じだ。音節を表す文字を作った社会もある。デワナガリ、パラワ、アラブ、そして更に ジャワやインドネシアのたいていの地方語文字がこの部類に含まれる。ラテン文字は音あ るいは音素を表している。 ラテン文字が持ち込まれる前、カガガ(kaganga)やチャラカン(carakan)などの地方語文字 にせよ、ジャウィ(jawi)・ぺゴン(pegon)・グンドゥル(gundul)などのアラブ文字にせよ、 インドネシア人は音節を表す文字を使っていた。地方語文字の中にパサガン(pasangan)と 呼ばれる手法が知られている。これはある文字の下に別の文字をくっつける方法で、こう することによって上の文字が下の文字と融合するという手法だ。 たとえばsabdaという言葉はsa-bdaと表記される。baの文字の下にdaの文字が重ねられる ことでbaの文字はbだけを表すことになる。sastraや月を意味するcandraはもっと凄まじ い。sastraはsa-straと書かれるが、それはまずsaの文字が書かれ、続いて次のsaの文字の 下にtaが重ねられてstaとなり、更にその下にチャクラ(cakra)あるいはプニャクラ(penya- kra)と呼ばれるraがくっついてstraとなるし、candraもcaのあとna+da+プニャクラが積 み重ねられてcandraとなる。 それがために、sasteraという綴りに固執するひとびとの存在が不思議でならない。地方語 にはprangpring, trangtrang, kolentrang, byar, bray等々の語彙が存在しているのだ。 おまけにかれらもtraktor, spekulasi, pro, kontraなどとしっかり書いているのだから。 [ 続く ]