「ボゴール市内の観光スポット(4)」(2018年10月25日)

年代史家ロブ・ニューウェンハイス(Rob Nieuwenhuys)はその小説「色褪せた肖像」の中
で、バイテンゾルフに関する少年時代の思い出をそう書き綴った。そこに描かれている情
景は1920〜30年代のものだそうだ。

ニューウェンハイスは1908年にスマランで生まれた。父は純血オランダ人、母はソロ
の欧亜混血女性で、一家は翌年バタヴィアに移り、父親は1912年にバタヴィアのトッ
プランクホテルであるホテルデザンドのマネージャーの職に就いた。

ニューウェンハイスは19歳まで東インドで教育を受け、それからオランダに渡ってレイ
デン大学で東インドに関する法学を修めたが、文学への関心が強まって行ったようだ。

1935年にかれはジャワに戻り、1940年までスマランで教え、それからバタヴィア
大学に移って教鞭を執ったが、日本軍の占領で収容所生活を余儀なくされた。

かれが1954年にE・ブレトン・ドゥ・ネイス(Breton de Nijs)の筆名で発表した唯一
の小説「ある東インドの家族アルバムの色あせた肖像」は三十代のころから書き始めたも
ので、収容所生活中に大部分が書き上げられた。原稿は日本製のトイレットペーパーに鉛
筆で書かれたものだったそうだ。


そんなバイテンゾルフは、今のボゴールで探しようがない。保養のためにボゴールへ来る
人はもういないだろう。ボゴールは少なくとも観光地なのである。

ジャカルタに住むフィトリさん39歳は三人の子供を連れて植物園内をピクニック。だい
たい二週間に一度は植物園を訪れると言う。「主人はボゴールの出身なんだけど、さあ・
・他に行く場所は・・・?」

ボゴール植物園内にあるが入り口が別になっている動物学博物館(Museum Zoologi Bogor)
にいたオランダ人カップルは、はじめてインドネシアに来たと語る。「有名な植物園は見
ました。そのあと、どこへ行こうかと考えましたが、どこにも何の情報も見つかりません。
看板とか観光案内センターとかがあればいいのに。」[ 続く ]