「遊びの性、聖なる性(2)」(2018年11月22日) 米国オハイオ州立大学心理学者テリー・フィッシャーと友人らが2011年5月24日の セックスリサーチジャーナルに掲載した論文は、もっと現実的な結果を示した。男性がセ ックスについて考えるのは一日に19回で、女性は10回というのがその結論であり、そ れだと一時間に1〜2回ということになる。 男性がセックスについて考える頻度は食べることと寝ることについて考える頻度とたいし て違わなかった。その論文は一回当たりの時間の長さやどのような内容を考えているのか といったことがらにはまったく触れられていない。ともあれ、男性が女性よりセックスの ことをたくさん考えているという従来の観念は間違っていないようだ。 < 性的生き物 > デンパサルのウダヤナ大学医学部男性科学性科学部長ウインピー・パンカヒラ教授は、男 性であれ女性であれ、人間というものは本質的に性的生き物である、と述べる。男も女も 性衝動を持っており、性行為を必要とし、性的満足を望んでいる。 「男性と女性の性的表現の違いは、社会の価値観がもたらすものだ。脳の構造は男性と女 性の性的表現の差に影響しない。生理学的に男性と女性の脳には多少の違いがあるのも事 実だが、性的表現の差はそこに由来しているものではない。」と語るのはマナドのサム・ ラトゥラギ大学医学部解剖学組織学部長タウフィッ・パシアッ教授。 女性は男性よりも右脳が優勢だとかれは言う。その結果として女性はあらゆることがらに 関して男性よりも感情的なのである。おまけに左右の脳を連結する脳梁つまり交連線維の 太い束は女性の脳のほうが男性の脳よりも厚い。その影響で、女性は言語形態の感情表現 が男性よりも長けている。 しかしその一方で、脳内でセックスに関連している内側視索前核は男性のほうが女性より も大きいのだが、そのサイズの違いはセックスにおける男性と女性の位置に影響をもたら すだけで、性的表現には影響がない。 < 進化 > サム・ラトゥラギ大学脳と社会ビヘイビア研究センター長をも務めるタウフィッ教授は、 性的表現は脳の構造よりも人類進化のプロセスに影響されている、と説明した。 セックスは欲望と快楽を充足させるためのツールだという見方を進化が男性にもたらした。 一方、女性にとってセックスは親密さや一体性を実践するための場であり、さらに生殖プ ロセスに関わるものだ。男性はセックスを楽しい遊戯で娯楽のためのツールと見なすが、 女性にとってセックスは神聖なるものなのである。[ 続く ]