「婚姻証明書詐欺」(2018年11月22日)

北ジャカルタ市に住むカシム氏が妻の不倫を警察に届け出た。インドネシアの警察は倫理
警察ではない。不倫が刑法で罪にされているから、カシム氏は犯罪として届け出たのであ
る。その詳細は「不倫罪」をご参照ください。
http://indojoho.ciao.jp/2018/0823_3.htm
http://indojoho.ciao.jp/2018/0824_3.htm

妻と正式な婚姻関係にあることを証明するためにブクニカ(buku nikah 婚姻証明書)も提
出したところ、警察の担当官がブクニカに不審を抱いた。

カバーの色が通常のものと違っているし、データ内容がボールペンで手書きされている。
北ジャカルタのKUA(宗教役所)は2016年から手書きをやめてコンピュータプリント
に変えているので、これはどう見てもおかしい。

不倫の届けとブクニカの入手状況という二本立ての事情聴取になったから、カシム氏も面
食らったにちがいない。警察はもちろんKUAにそのブクニカを照会し、KUAにその記録が
存在しないことが明らかになった。おかげでカシム氏は踏んだり蹴ったりの結末になって
しまうわけだが、この記事の焦点はそっちではない。


カシム氏の婚姻式事プロセスがどのように行われたのかが明らかになった。KUAに婚姻式
事を申請すると、ウスタズのLが指名されて式事を管掌した。Lはブクニカ発行とKUAの登
録の手続きを行う者を新郎新婦に紹介したから、新郎新婦は何も疑わないで、進められて
行く進行にただ従い、請求された金額を払ってそのブクニカを入手した。KUAに?登録され
ていないなどと露ほども疑っていなかったのである。

北ジャカルタ市警は捜査を開始して、あっさりと全関係者を捕捉した。この詐欺の首謀者
は元KUA職員の妻で、夫と一緒に2000年以来犯行を続け、夫が2017年に死亡した
ため息子と組んでその事業を続けていたそうだ。ブランクのブクニカは別の人間から一冊
17万ルピアで入手し、そこにデータを書き込み写真を貼って新郎新婦それぞれに40万
ルピアで買わせていた。ウスタズのLは、自分は詐欺行為に関わっておらず、ただ元職員
の妻と息子を紹介しただけだと述べたそうだ。

2000年以降、北ジャカルタ市でイスラム婚を行ったひとは、KUAで登録されているか
どうかをチェックする必要がありそうだ。