「性犯罪被害者の犯罪者化(1)」(2018年12月03日)

ライター: APIK全国コーディネータ、ヌルシャッバニ・カチャスンカナ
ソース: 2018年11月22日付けコンパス紙 "Hukuman Nuril dan Konspirasi 
Maskulinitas"

バイッ・ヌリルはロンボッ島マタラムにある中学校の教員をしている。かの女は臨時教員
の立場を解消された。それどころか最高裁はかの女に6カ月の入獄と罰金5億ルピア代替
刑拘禁3カ月の判決を下したのである。

もし罰金を納めなければ、バイッ・ヌリルは自分が犯してもいない罪のために9カ月の獄
舎生活を余儀なくされるのである。女の視点からは、これはジェンダー不平等の法システ
ムと非民主的な電子取引情報法で行われた法執行者の陰謀に見える。

この判決に正義感は冒されて、世の中は愕然とした。ましてや、犯罪レベルのありきたり
でない大物小物の汚職犯罪者に下される刑罰に比較して見るならば。


われわれの道義心を揺するのは、バイッ・ヌリルがセクハラの被害者でもあるということ
だ。2012年にかの女が上司との会話を録音したのはそのためだ。上司が頻繁に電話を
してくることから、もし変なゴシップが流されたときに備え、また自分を守るために、か
の女はそれを行った。

男性優位の法と社会システムが被害者の声に耳を開かず、被害者が断罪されて二重の被害
者にされることをかの女は十分に悟っていたのだ。男性を女性の上位に置く父権制社会の
利益を守り、維持することがそのような現象の目的なのである。その録音が思いもよらず、
たまたまかの女の携帯電話器を治したときに同僚がそれを見つけて、世間に流された。


2017年3月、バイッ・ヌリルは正式容疑者とされた。倫理上問題のある電子記録を伝
送した罪に問われたのだ。それは2008年法律第11号を改定した2016年法律第1
9号電子取引情報法の第45条(1)項に関連する第27条(1)項に定められた条項で、
最長6年の入獄刑と最大10億ルピアの罰金刑が科される。

そのときから、かの女は拘留された。しかしマタラム地裁はバイッ・ヌリルを無罪とし、
すべての容疑から解放した。伝送行為を行ったのはかの女でなく、同僚だったのだから。

その判決に対して検察側は原判決破棄を求めて最高裁に上告した。最終的に最高裁は検察
側の要求を認め、バイッ・ヌリルに検察側の求める刑罰を科した。その一方で、伝送行為
を行った人間は何らの法的措置を受けることなく放任され、かの女にセクハラを行ったと
見られる校長は昇進を与えられている。

警察・検察・判事・校長の上位者たちの行為は明らかに父権制の陰謀協力の形をなす、バ
イッ・ヌリルに向けられた法執行者の「つわ者」デモンストレーションだ。これまでに電
子取引情報法は381人前後の犠牲者を生んでいる。専門家や活動家たちはそれを往々に
して、外道法廷と呼んでいる。[ 続く ]