「宗教ベースの地方条例(前)」(2018年12月27日)

ライター: ジャカルタ国立イスラム大学人文学部教授、アジュマルディ・アズラ
ソース: 2018年11月29日付けコンパス紙 "Perda Agama"

宗教をベースにした地方条例(シャリア条例や聖書条例)についてのイシューはもうここ
何年もの間、公共の場における話題になっていなかった。学術研究の中で2007年とか
2013年以来の現象と言われているように、国内各地で宗教ベースの地方条例制定が顕
著に減少したことがその主要因をなしている。

だから、シャリアにせよ聖書にせよ、宗教解釈を踏まえて作られた地方条例をわが党は支
持しないとインドネシア団結党のグレース・ナタリー党首が表明したときに起った騒動に
は驚かされた。一部階層はグレース党首の表明を宗教冒涜と見なして、警察への訴えまで
出された。

宗教ベースの条例を支持しないことを理由に一個人(グレース・ナタリー党首)が特定階
層に宗教冒涜を行ったと見なされたのは、インドネシアでこれが初めてのことだ。199
9年以降にその種の条例制定が盛んになったころ、それに反対する者が警察に訴えられる
ようなことは一度も起こらなかった。

グレース・ナタリー党首の表明後のあの騒ぎは、2019年総選挙がもたらしている政治
情勢のためである。ジョコ・ウィドド=マアルフ・アミン正副大統領候補支持者であるグ
レース・ナタリー党首のこの事件は、その陣営に対する信用失墜に利用できるものにちが
いない。


ロビン・ブッシュが論文(インドネシアのシャリア地方条例:アノマリかシンプトムか?、
2008年)の中で「地方ベースのローカル法規」あるいは「地方影響下のローカル法規」
と述べたものは、政治力学と政治利益がそれら宗教ベースの地方条例を施行させた原因の
ひとつだったのである。1999年以来、各地でシャリアベースの地方条例が施行された。
1999年から2007年までの間に、78件のシャリアベース地方条例があちこちの州
や県・市で施行されたとブッシュは記している。

更にブッシュは、その動きは上昇して頂点をきわめ、そのあと下火になった、と述べた。
2003年の23件を頂点にして、2004年15件、2005年5件、2006年5件、
そして2007年はゼロ。

ダニー・ムッタダの2013年の博士論文は、シャリアベース地方法規がもっとたくさん
あったことを告げている。2013年半ば時点でシャリア地方法規は422件あったそう
だ。しかしかれのシャリア地方法規のとらえ方は広く、条例および地方首長の指示書や回
状も含まれている。[ 続く ]