「国内線航空料金異変」(2019年01月15日)

2018年クリスマスのしばらく前から始まった国内線航空チケット料金の激烈な値上が
りは、特殊な思惑がらみのものだったのかもしれない。アチェダルッサラム特別州バンダ
アチェからジャカルタ行きの国内線航空料金よりも、クアラルンプル経由でジャカルタへ
行くほうが大幅に廉いとアチェのひとびとは語っている。

バンダアチェ住民のホトゥリさんは、ジャカルタ行き国内線直行便よりも、KL経由のほ
うが1トリップで60〜80万ルピアも廉い、と言う。かれは18年12月12日にエア
エイシアでKLに行き、そこからライオンエアーでジャカルタに入った。総額100万ル
ピアだった。もしライオンエアー国内線で行けば160万ルピアが財布から消えるところ
だったそうだ。

コンパス紙記者が航空チケット販売サイトで19年1月15日の料金を調べたところ、バ
ンダアチェ→ジャカルタのライオンエアーは221.2万から233.3万ルピア、ガル
ーダ航空は296.3万ルピアだった。ところがバンダアチェ→クアラルンプル→ジャカ
ルタをエアエイシアで行けば、105.9万ルピアで済むことが判明したのである。

バンダアチェ住民のシャフルディンさんも同じような話をする。バンダアチェから東ジャ
ワのマランへ家族連れで行く予定のかれは、クアラルンプル経由がはるかに廉いことを知
って、妻と子供にパスポートを作った。「クアラルンプル経由だと節約できるから、クア
ラルンプルで家族が遊ぶ金を捻出できる。このほうがはるかに得だ。マランへ行くついで
に海外旅行だから。」
しかし、とかれは続ける。「こんなことがいつまでも続けば、国民はみんな国内の旅行を
外国経由で行うようになるだろう。国内の資金を外国に落とすことになる。」

国内線航空チケット料金の激しい値上がりは、例年起こるハイシーズンに向けての一過性
のものでなかった観が強い。ガルーダ航空パレンバン→メダンの料金は18年5月25日
に91万8千ルピアだったものが、19年1月15日は190万ルピアになっている。

ガルーダ航空は料金ポリシーについて、客席がどれだけ充填されるのかが最終ポイントで
あり、最大効率を目指して時間や時期そしてルートなどの諸ファクターから料金が決まっ
て来ると従来のものそのままの説明をしている。その一方で諸経費の顕著な上昇があり、
従来のレベルを踏襲していてはビジネスにならないことも確かだろう。18・19年クリ
スマス〜新年のハイシーズンを狙って、空運業界が一斉に従来の料金レベルを上方にスラ
イドさせたあげくの現象がこれなのかもしれない。