「ジャワ島を揺さぶる活断層(2)」(2019年01月18日)

もしも今現在、それらの規模の地震がジャカルタを襲うなら、人口密度や街区の密集度、
高層建築物の多さなどから概算して、人的損害は10万人規模に至るだろうという試算が
なされている。

インドネシア各地でほとんど間断なく発生している地質学的災害に国全体が強い関心を向
けている昨今、自分たちの置かれている状況に関する啓蒙並びに想定される災害に対する
軽減措置をどうするかという話が頻繁に取り上げられるようになった。

中でも人口のもっとも稠密なジャワ島で、しかも大都市に被害が出れば、損害はたいへん
なものになる。ジャワ島を切り刻んでいる活断層に目が向けられた。


西ジャワ州のチマンディリ(Cimandiri)とチパミンキス(Cipamingkis)断層、ジャカルタ南
断層、クンデン断層はひずみ速度が年間−3マイクロストレインより小さいことが最近明
らかにされた。一方、東ジャワのモントン(Montong)断層や中部ジャワのラスム(Lasem)
断層、またウォンソレジョ(Wongsorejo)でも、年間ひずみ速度が1マイクロストレイン
より大きいことが判明している。

1780年1月に起こったM8.5の地震は長さ350キロを超える断層によって引き起
こされるはずのものであるのだが、しかしジャカルタ南部には長さ50キロの断層が存在
していて、その地震発生能力はM7.1程度のものでしかない。研究者はその辺りの事情
について、1780年の地震はバリビス(Baribis)断層が原因ではない可能性と、もうひと
つジャカルタ南断層はバリビス断層の一部でない可能性のふたつを仮説に取り上げている。

バンドン市の北側を走るレンバン(Lembang)断層は年間1.95〜3.45ミリの速度で
動いている活断層だ。長さは29キロで、地震発生の規模はM6.5〜7.0とされてい
る。この断層がかつて発生させた大規模地震は、15世紀、紀元前2千3百年、今から1
9,620年〜19,140年前の三回だったらしい。但し、この発見はマニュアルによ
るトレンチングでの成果であり、完璧な調査を行うことで過去の活動の全貌がより明瞭に
なるのは疑いがない。

緊急の大問題になっているのは、それらの活断層が住民の生活域を通っていることだ。ク
ンデン断層はスマランからスラバヤを抜けてマドゥラ海峡に入る一方、周辺にもスマラン
断層・アンバラワ断層・ラスム断層などが網の目のように走っている。レンバン断層・バ
リビス断層・ジャカルタ断層はバンドンや首都圏をその懐に擁している。[ 続く ]