「ジャワ島を揺さぶる活断層(終)」(2019年01月21日)

今現在、調査がもっとも進んでいるのはレンバン断層で、断層周辺には住宅地・学校・保
健所・軍事施設などが設けられているが、断層が地震を発生させればバンドン市内にも大
きい影響が出るにちがいない。バンドン市北側を東西に29キロに渡って走っているこの
断層が起こす最大級の地震で、250万家屋が影響を蒙るだろうと見られている。重度破
損50万、中度破損100万、軽度破損100万がその内訳だ。

丘陵上にある川底の土砂堆積、弱点における土砂崩れと地震分布などから、断層は川の地
形に重なっていることが分かる。スマランでは弱点が多数あって、地震発生も多い。18
56年、1958年、1959年、1966年の地震がそれだ。中部ジャワではそのほか
にも、アンバラワで1865年、パティで1890年、ラスム1847年、クドゥス18
77年、ウォノソボ1924年、サラティガでは2017年1月など、頻度には目を瞠ら
される。

スマランもジャカルタも、河川堆積層が作る細かい砂の厚い層が地盤をなしていることか
ら、パル地震で起こったような液状化現象の懸念はきわめて強い。

政府は災害軽減対策として活断層の存在を住民に告知するため、レンバン断層を手始めに
して標識を設置することを決めた。全国的には、新たに発見されたものだけで295地区
が報告されており、半径1キロ以内の危険エリアには学校が2,892、病院40、保健
所126があって、また居住民は410万4千人にのぼっている。

理想的には、それらの危険エリアから人間の生活域を引き上げて空白地帯にするべきなの
だろうが、それらの周辺一帯が既に稠密な人間の生活域に包まれているため、学校を移転
させるにも容易に移転先を得られない場所のほうが多い。

それどころか、古来からの伝統経験によって地滑りや地割れのリスクがある場所はたいて
い見当がついているはずなのだが、そのような地所であっても土地があいていれば、その
うちに誰かが家を建てて住むことになる。そんな者に立退きを命じることのできる法律は
存在しない。政府ができることはあくまでも、標識を建て、啓蒙告知を行い、その上は自
己責任で・・という姿勢を取るしかないわけだ。

ただし、学校や病院・保健所などは政府の設けた公共施設であり、それを危険エリアに放
置しておくことはできない。カタストロフィが先か、それとも対策が早いか、予断を許さ
ないところかもしれない。[ 完 ]