「アッラーは誰のもの?(前)」(2019年01月22日) ライター: 神学学士、倫理学修士、サムスディン・ブルリアン ソース: 2006年8月18日付けコンパス紙 "Allah Milik Siapa? " 中東に生まれて生き残り、昨今は強さを増している宗教が三つある。歴史順に言うなら、 ユダヤ教・キリスト教・イスラム教だ。それぞれはユニークで独特なコミュニケーション ルートを造物主との間に持っていると主張している。それぞれは己の神に対する愛称を持 っている。 キリスト教とユダヤ教はイェホヴァ(Yehovah)であり、アッラー(Allah)はイスラムのもの だと考えているひとびとがインドネシアにいる。キリスト教徒がアッラーと言うのは偽装 だとかれらは言う。 アッラーという語はアラブ語だが、決してイスラム教にだけ使われる言葉だということを 意味していない。遠い先史時代から、アラブやイスラエルを含むセミ語族はその語をさま ざまな変種の形で使って来た。アッラー(Allah)、イラー(Ilah)、 エル(El)、エロ(Eloh)、 エロヒム(Elohim)、イル(Il)、 等々で。 アッカド族(現代のイラクであるメソポタミアに生まれたシューメリアに次ぐ第二の最古 代文明、紀元前24〜22世紀)はイルを用いた。語義は多分「最高支配者」で「明るい」 の意味に関わっている。この語は太古の昔から広範囲に広まり、最終的にヨーロッパ語の 中にまで浸透した。例えばラテン語や英語の中に、われわれはilluminat...といった単語 を見出すことができる。この中東の古代文明は自然界と人間の生をつかさどるものが天空 にあって降って来るのだと考えた。かれらにとっては、天空にあるすべてのものの中で輝 かないものはなかったのである。その思想が占星術を生み、いまだに大流行している。 モーゼ以前の時代にあった多神教的諸民族は、すべての神性(ilahi)を持つものの頭領であ る最高神をエルもしくはその変形語で呼んで崇拝した。エルは、たとえばイスマエル (Ismael =エルは聴く)やイスラエル(israel=エルは成し遂げる)などのように、たく さんの個人名に使われた。しかしより幅広く、現在われわれが通常使っているtuhan, ilah, dewaなどのように、この語は一般名称としても使われた。[ 続く ]