「sampoは死語か?」(2019年03月14日)

ライター: スエーデン在住言語オブザーバー、アンドレ・モレン
ソース: 2009年7月24日付けコンパス紙 "Untung Gundul"

わたしは時に、頭髪のないことを幸いなるかなと思うことがある。乱れた髪に気を遣って
くしで整えることもしなくてよいし、床屋で理髪師の取ってつけたような愛想話に無理し
て耳を傾ける必要もないのだから。

しかし、そんなことよりも何よりも、インドネシアでわたしはsampoを買うことができな
いのである。インドネシアで売られているのはすべてshampooなのだ。(英語shampooは
オランダ語でもshampooと綴られるが、発音はシャンポウであり、その発音がインドネシ
ア語に入ったためインドネシア語正書法はsampo、発音はサンポになっている)

shampooという単語はKBBI最新版に影も形も見えない。反対にsampoは頭髪頭皮を洗
うための液体で、植物や化学成分を混ぜて作られる」と定義付けられ、動詞形menyampo
やプロセスを示す名詞形penyampoanなども示されている。残念なことに、sampoという単
語はヘアケア分野で活動している企業に使われない単語になっているのである。

語源的には同じであるにせよ、sampoはインドネシア語の形態に則してインドネシア語化
されたものなのだ。インドネシア市場で販売されているシャンプーの特徴に関する添え書
きにしても、そこに使われるのにふさわしいインドネシア語がないわけでもないというの
に、シャンプーメーカーは自社製品に英語表現を貼りつけている。

わたしが妻のために買ったシャンプーボトルには、Nutritive Shampooに加えてAdvance 
Care Complexという、いったい何を意味しているのかよくわからない説明が添えられてい
る。子供のために買った、kidsと書かれているボトルはberaroma strawberryとなってい
て、既にインドネシア語化されたstroberiは使われない。他の製品も同様で、penghalus 
rambutと言えるものは必ずconditionerと書かれている。

わたしにsampoは無用だといっても、マンディの際にわたしはsabunを使う。ところが浴用
のsabunを探しても、やはり見つからないのだ。あるのはbody washやbody foamなのであ
る。シャンプーでもそうだったように、body washなどのボトルにも英語の添え書きが貼
りつけてある。わたしのものはhydrating、妻のは indulgent、kids用はfoaming。わが家
の浴室にはfacial foamまである。

インドネシアのメーカーがインドネシアで生産しているのに、目に付く単語は英語ばかり
だ。sabunの語はKBBI第四版に掲載されており、sabun mandiとsabun wangiが同義語
であるとか、menyabun, menyabuni, menyabunkan, bersabunなどの動詞や、プロセス名詞
であるpenyabunanなども説明されているにもかかわらず、どうしてメーカーはインドネシ
ア語を無視しようとするのだろうか?

インドネシア産sampoとsabunの裏側に貼られたラベルの文章も混乱のきわみだ。インドネ
シア語文の中に散りばめられた英単語をインドネシア一般国民消費者の大半は理解できな
いだろう。 おまけに大文字と小文字がちぐはぐに使われ、文は不完全で語法も間違って
いる。

無職のインドネシア語学士はたくさんいるはずだ。そして毎日二回マンディする2億国民
を抱えたこの国でsampoとsabunを市場に供給するメーカーは、その利益もきっとたくさん
であるにちがいない。その利益を少しばかり使って、もっとまともなインドネシア語文を
裏のラベルに使ってはどうだろうか。