「盗難車両の運命」(2019年03月29日)

ジャカルタに住んでいる韓国人が個人で運転手を雇った。翌朝、運転手はトアンの車トヨ
タイノヴァにトアンを乗せてガトッスブロト通りのムナラジャムソステッに運んだ。しば
らく経ってからトアンが出かけるためにビルのカーコールで運転手を呼んだが、いつまで
待ってもやってこない。運転手の携帯電話は不通だ。

こうして運転手が車を乗り逃げしたことが判明した。2018年12月半ばのできごとで
ある。トアンは求職者のKTPなどアイデンティティ書類を握らなかったのか?犯罪を目
的に就職する人間はニセモノKTPを使う。写真だけが本人のもので、名前・住所その他
のデータはすべてニセモノだ。そのあたりの事情は、2018年12月13〜21日に掲
載された「電子KTP異変〜国は美田なり」の七回分載の中に詳しい。


警察は捜査を開始して、自動車乗り逃げ犯人のAを19年2月14日に中部ジャワ州トゥ
ガルで逮捕した。Aは警察に、韓国人から盗んだ車はトゥガルの盗難車両故買人Bに6千
5百万ルピアで売り渡したことを自供した。

警察に逮捕されたBは、その車を1億5百万ルピアで中部ジャワ州プマランの故買人に売
り渡したことを自供した。

プマランの故買人はその車をスラバヤの故買人Dに1億1千5百万ルピアで売り渡し、D
はやはりスラバヤの同業者Eに1億2千5百万で売り渡した。そこまで車の動きを芋づる
式に追って行った警察は19年2月19日にEを逮捕して、EがそれをSに1億5千万ル
ピアで売却済みであるところまで突き止めた。

SはEの逮捕を知って逃亡したため警察はかれを追跡中だが、既にボジョヌゴロのSナン
バープレートに変えられていた盗難車両は手に入れた。

その芋づるをたどっていく中で、警察は53台のプレート番号の変えられた他の盗難車両
をも押収した。上に登場した故買屋たちは自分たちの仕事を成功させようとして、誰が考
え付いたのかわからないが、盗難車両を広いエリアで何度も登録移転させることによって
足がつくのを防止しようとしていたことが明らかになった。

盗難車両はBPKB(自動車所有者謄本)がないのが普通だ。それは偽造するか、あるい
は手続きを行う役所の内部者を抱き込めば、登録移転手続きの致命傷にならない。偽造品
を使うと発覚する恐れがあるから、困難ではあっても抱き込みの方が安全確実だろう。

たくみに偽装された盗難車両は最終的に一般消費者に販売されるわけだが、警察は市民に
対して、どんなに相場より廉くてもBPKBが付いていない自動車は絶対買わないように
せよ、と警告している。