「BABSと発育阻害(前)」(2019年04月22日)

ライター: フィールウエルセラミックス共同設立者、ステヴィア・アンジェスティ
ソース: 2018年11月19日付けコンパス紙 "Indonesia Membutuhkan Revolusi 
Toilet"

BABSは命を奪う。BABSは毎年インドネシアの子供15万人の命を失わせているこ
とを事実が証明している。インドネシア国民8千4百万人超が妥当な排泄物処理へのアク
セスを持たない。その膨大な数はオーストラリア国民人口の3.5倍にのぼる。インドネ
シア国民四人にひとりがトイレを使っていないのだ。

発育阻害問題がいま保健統合サービスポストからさまざまな行政機関に至るまで、あちこ
ちで話題になっている。ところが、われわれの多くは発育阻害問題を栄養問題と考えてい
る。本当は、その問題の7割は劣悪な排泄物処理によって引き起こされる寄生虫感染症と
下痢が原因であるというのに。1歳未満幼児死亡の31%はBABSの悪弊が起こす下痢
が原因になっている。

インドネシアでは毎日1万4千人の子供が生まれ、そのうちの5千人は発育阻害の可能性
を持っている。発育阻害はインドネシアで重要問題に位置付けられているというのに、ト
イレの問題を語るひとは少ない。子供が一旦発育阻害に陥ってしまえば、そこから抜け出
すことはできない。

発育阻害は子供の身体と脳の発育を阻害して、将来の経済生活と社会生活に影響をもたら
す。発育阻害の生徒はIQが低いために、他の生徒たちと一緒に学校の授業についていく
ことができないし、病気にもかかりやすい。

かれらの多くは、学校をドロップアウトする。かれらが発育阻害に陥ったのはただ単に十
分な栄養を得られなかったのが原因でなく、生後1千日の間に頻繁に継続的な下痢にかか
ったからだ。

その結果、与えられた栄養分は身体に吸収されず、下痢によって体外に排出されてしまう。
あるだけのエネルギーが病気に抵抗するために使い果たされるために、かれらの脳は順当
な成育を阻まれる。

社会隔差は子供が胎児のときから始まるようだ。発育阻害問題専門家の大半は、栄養がそ
れの一ファクターであることは疑いないにせよ、その予防に一番効果的なのは国民に清潔
なトイレ設備を持たせることだと主張している。

< BABS現象 >
このBABS行為の実態を見るのに、高層ビルに埋め尽くされたジャカルタ都心部からそ
れほど離れた場所へ出かける必要はない。国鉄コミュータラインでスディルマン駅からボ
ゴールへ向かうか、グロゴル川を車で通過するか、中央ジャカルタ市にある低所得層向け
積層共同住宅を訪れるだけで、われわれはその実態を目にすることができるのである。

われわれの周辺環境にあるBABS習慣を見過ごしていれば、われわれは自分の家族の健
康を間接的に軽視していることになる。われわれはみんな、隣り合って暮らしているのだ
から、BABS行為で出現した隣人の汚物は自分の家に浸透してくることになる。

みんなが下痢は風邪を引いた結果だと考えているなら、それはBABS行為を間接的に温
存させていることになる。妥当な排泄物処理の欠如のためにバクテリアによって下痢が起
こっているのだ。風邪を引いたためではない。その種の風邪引きによってどんなに巨大な
金額が浪費されているかを考えてみるべきだ。[ 続く ]