「インドネシアで節水(前)」(2019年05月14日)

首都ジャカルタの上水需要は年間8.24億立米と見積もられているが、都営水道会社P
AM Jayaの供給能力は5.61億しかない。必然的に都民の多くは水道に頼らない生活を
せざるを得なくなる。

コンパス紙が2019年2月23〜24日に17歳超の首都圏住民574人から集めた統
計によれば、都民の64.1%は飲食用以外の上水需要(インドネシア語でMCKと呼ば
れている。つまりMandi, Cuci, Kakusの頭字語)を地下水をメインにしてまかなっている
のが明らかになった。水道を依存の中心にすえているひとは35.2%、瓶詰天然水0.
5%というのが残りのひとびとだ。

瓶詰天然水というのはAir isi ulangあるいはAqua isi ulangとインドネシア人が呼んで
いるもので、これに関する詳細は次のページに詳しく説明されている。
http://www.jakanavi.com/yorozu-indonesia/index.cfm?action=view&category=5&sredd_id=55673

上水入手にかかっている費用も、コンパス紙の統計が示しているので、それもご紹介する
ことにしよう。平均的な月間支出額がそれだ。
<地下水メイン利用者>
ゼロルピア  21.5%
5万未満   12.0%
5〜20万  39.4%
20〜50万 14.4%
50万超    3.3%
<水道メイン利用者>
5万ルピア未満 5.9%
5〜20万  46.5%
20〜50万 35.6%
50万超    4.5%
<瓶詰天然水利用者>
5〜20万ルピア 33.3%
20〜50万   66.7%

現在ジャカルタの水道事業は都庁の公営会社PAM Jayaが独占公共事業として担っている
が、現場業務は外資と共同で興した合弁会社が遂行している。首都行政区の西半分を受け
持っているフランス系Palyjaの利用顧客は270万軒で普及率60.3%、東半分を受け
持っているイギリス系Aetraの顧客数は290万軒で、こちらも普及率は60.4%。供
給能力が不足しているのだから、普及率がなかなか上昇しないのも当然と言えるだろう。

水道の能力欠如を地下水が補えていると考えることのできた時代はそれでよかったのだが、
地下水汲み上げの結果としての地盤沈降や海水の地下水浸透問題、あるいは汚水投棄のた
めの地下水汚染問題が盛んに言われるようになってきたことから、都庁は地下水の無制限
使用時代はもう終わったと考えている。[ 続く ]