「究極は女の本源への回帰?(1)」(2019年05月15日)

男性優位の父権主義社会は女性の存在する場を鋳型にはめて制限し、そこをコンフォート
ゾーンにするとともに、そこから出ようとする者に厳しい制裁を与える。そこに宗教や倫
理道徳がからめられる結果、既成の価値観を冒す者は人格を抹殺されるリスクすら担わな
ければならなくなる。

インドネシアは女性解放に向かう途上にある。とはいえ、周囲を取り巻く男性優位社会が
女の分を守る姿を絶賛するがために、父権主義社会が構築してきた女性にとってのコンフ
ォートゾーンに居座ることが善であり、務めを果たす女としての理想の生き方であると考
える女性たちも少なくない。

全身黒ずくめのチャドル姿で男性と一緒に街中に出て来るムスリマはたいていそうであり、
かの女たちはその姿をしている自分に誇りを抱いているのが普通だ。どのような生き方が
自分にとっての善なのかということは各個人の環境と教育によって方向付けられる傾向が
強く、本人の価値観が決定要因として働くために他人の干渉は人格への批判や攻撃と受け
取られがちで、そこに生じる落差が侮蔑現象へと向かってしまう。

コンパス紙R&Dが2019年4月1〜2日に17歳超のジャボデタベッ住民5百人から
集めた女性解放に関する意見は次のような結果を示した。
質問1.現代の女性解放とは何を意味しているのか?
勤労にいそしむことができること 34.8%
企業・組織・地域の指導者になれること 28.0%
高等教育を受けられること 20.6%
男女対等 7.4%
高い感情移入感覚を持つこと 2.6%
女性の本質・本領を忘れないこと 1.6%
2017年度中央統計庁データでは、首都の女性労働力人口は170万人で全体の37%
を占め、そこにカウントされなかった労働適齢期女性は主婦に含まれている。[ 続く ]