「スンバワのミルクキャラメル(後)」(2019年05月17日)

そればかりでなく、スンバワ島はpermen susu(日本語で言えばミルクキャラメル)の本
場でもあるのだ。スンバワ島の村の中で、家内工業として生産されたミルクキャラメルは
島内の土産物店ばかりか、ジャワ島にも送られて販売され、またネット販売で全国隅々に
までも配送されている。

その代表的な生産地であるモヨウタラ郡プニャリン村にはたくさん生産者がいる。そのひ
とりであるスミアティさんは、ミルク3リッターと砂糖1キロで1.5キロのプルメンス
スを作り、一定サイズに切ってから手仕事で紙包装している。

それを5百グラム詰め、250グラム詰め、100グラム詰めの三種類のパックにし、5
万、2.5万、1万ルピアで販売している。普段はひと月に5〜10キロの販売だが、ル
バランシーズンには百数十キロが売れるそうだ。他にも馬ミルク、スンバワ蜂蜜、地元の
おやつなどが生産販売されている。

同じ村の隣人ジュッラさんはプルメンススを農閑期の副業に作っているだけだと言う。そ
れでも需要シーズンになると月に50キロは売れるそうで、売上は5百万ルピアに達する。
プニャリン村は1980年代に乳牛の飼育を開始し、徐々に経済を向上させながら今日の
繁栄を築き上げた。村民の飼育しているスンバワ牛は3千頭、バリ牛は2千頭で、乳牛一
頭から一日5〜6リッターのミルクが生産される。

スンバワ島の乾季は厳しい。その時期には、乳牛から得られたミルクの用途は仔牛の需要
が最優先される。十数団体ある川下の加工生産者には原材料難の時期となるのである。

普段の生産規模の大小がどうであれ、固定客がつくと、客の需要を常に満たせる状態にし
ておかなければ、お得意さんは逃げて行ってしまう。原材料を確保するために、加工生産
者は往々にしてジャワ島からミルクの供給を受けている

島内の他の村で生産されているミルクの余剰分とプルメンスス生産者の需要を結びつける
のが、スンバワの経済行政担当者に課された重要な責務であることは疑いないだろう。
[ 完 ]