「プルンプアン(6)」(2019年05月27日)

ハリムルティ教授が上の論説の中で引き合いに出したイスマイル・マルズキの名作のひと
つについて紹介しておこうと思う。この歌はSabda Alam(自然の定め)という曲で、メ
ロディもユニークなら、歌詞もかなり深遠な男女の本質を衝いたものになっており、わた
しのお気に入りのひとつだ。

sabdaは辞書を引けば名詞で言葉という語義が出て来るものの、用法は神・王・預言者な
ど高位神尊の者が人民に告げる言葉として使われるのが一般的であり、おのずからその内
容は真理や摂理を民衆に説き明かす傾向を帯びている。わたしはこのタイトルを、神が創
造した自然の中に設けられている摂理というムスリム一般が持つであろう意味に解釈した。

Sabda Alam
Diciptakan alam pria dan wanita
Dua makhluk dalam asuhan dewata
Ditakdirkan bahwa pria berkuasa
Adapun wanita lemah lembut manja

Wanita dijajah pria sejak dulu
Dijadikan perhiasan sangkar madu
Namun ada kala pria tak berdaya
Tekuk lutut disudut kerling wanita

日本語に我流で訳すと次のようになる。
自然の定め
自然が男と女を創った
神に育まれる二種類の生き物を
男は支配を定められ
女は柔弱で甘やかされて

太古から女は男に征服され
蜜の檻の宝物にされる
しかし男が力を失って、女の
流し目の片隅で降伏する時もある

怒った女が背を向けて、しかし眼だけをクルリンと回して男の方をうかがうと、その視野
の片隅に膝まづいて赦しを請う征服者の姿が映っている、という情景描写は実に心憎いば
かりだ。

この歌は女性歌手ユニ・サラで人気が高いようだが、最近はメメスの唄もユーチューブに
アップされている。ユーチューブの中でもっとも古典的な雰囲気を伝えているのは次の動
画で、https://www.youtube.com/watch?v=Db0CFQIEOj4 
唄っているのはスウェスティ・ウィラブアナ。1970〜80年代にかけて活躍した女性
歌手だ。[ 続く ]