「5月22日ジャカルタ暴動の総決算(2)」(2019年05月28日) だが、ジャカルタでの拒否行動は前日から既に開始されていた。ジャカルタでの行動に参 加するため、バンテンや西ジャワ州の各地から、群衆がジャカルタに集まって来た。中に はロンボッやマルクから来た群衆がおり、スマトラから来た群衆が混じっていた可能性も ある。デモ行動は5月21日14時ごろから開始された。そのクロノロジーは次のように なっている。 19年5月21日 14時:ジャカルタのタムリン通りにある総選挙監督庁本部前に群衆が集まってきて、デ モ行動を展開 19時:デモ行動は穏当に進み、警備に就いている警察治安部隊とデモ隊が路上でブカプ アサと礼拝を行うシーンもあった 21時:警備部隊がデモ隊に解散を呼びかけ、デモ隊はそれに従って帰宅 23時:総選挙監督庁本部前にどこからやってきたのかわからない群衆が出現し、建物に 向かって攻撃を開始。投石・火炎瓶・爆竹などを警備部隊に向け、騒乱となる。 19年5月22日 1時20分:警察側が攻撃集団を押し返し、攻撃は下火になる 2時45分:攻撃集団に混じってその指揮を取っていたと見られるプロヴォカトル容疑者 を58人、警察が逮捕 中央ジャカルタ市プタンブランのKSトゥブン通りに、正体不明の群衆が出現し、攻撃態 勢を取る 3時:群衆が警察機動旅団員官舎に向けて攻撃を開始 警察車両15台が燃やされ、11台が破壊される この攻撃のプロヴォカトルと見られる11人を警察が逮捕 9時:都知事がデモ隊と警察の衝突で怪我人2百人死者6人が出たとの表明を出したが、 警察はしばらく後に「立証されていない」との反論を公表 9時半:警察機動旅団員官舎に向けての群衆の第二次攻撃が始まるが、衝突は官舎から5 百メートル離れた警察の固める防御線の外で展開 10時:スリピ高架道路上に群衆が出現して警察に投石 12時:スリピ地区で警察車両2台が燃やされ、機動旅団セダン車1台とバス3台が破壊 される 17時:スリピ地区の騒乱が徐々に下火になる 20時:群衆が再び総選挙監督庁本部前に集まってきて、タイヤを焼き、気勢を上げ、警 察と衝突を起すが、それを最期として都内の騒乱は終結 警察は今回の事件で、群衆の中で騒乱に加わっていた257人を逮捕 このようにして大統領選挙の結果に反対するジャカルタでの市民暴動が終息したのだが、 その内容を見るかぎり、この事件が市民暴動と呼ばれる条件を欠いていることは明らかだ ろう。[ 続く ]