「5月22日ジャカルタ暴動の総決算(3)」(2019年05月29日)

21日夕方にタムリン通りの総選挙監督庁本部前でデモ行動を行った群衆は、夜になって
警察警備部隊がデモ行動は6時〜18時に行われるのが規則であるとの説得を行い、解散
するよう呼びかけたことで人の波が引いて行った。群衆は路上のゴミを集めることまでし
て帰ったそうだ。

ところが深夜になって、再び同じ場所に群衆が集まって来た。この群衆は最初から攻撃態
勢を示し、鉄条網のバリケードを冒してビル内に入ろうと実力行動を開始。それを持ちこ
たえた警察側は反撃に移り、攻撃集団を追い散らした。

その一部は南に下がってサリナデパート周辺で気勢を上げ、別の集団はタナアバン方面に
向かうワヒッハシム通りに集まって警察を挑発し続ける。公共秩序を犯しているので解散
せよとの警察の警告を徹頭徹尾無視する群衆を追い払うために警察が動きを開始すると、
攻撃集団はKSトゥブン通り方面に逃走した。プタンブランの警察機動旅団員官舎が攻撃
されたのはその後で、多数の警察車両が放火され、破壊された。

22日午前2時ごろから始まったトゥブン通りの攻防は夜明けまで継続し、国軍に支援さ
れた警察治安部隊は攻撃集団の掃討を続けて156人を逮捕した。午前7時ごろのトゥブ
ン通りの状況は散乱する大小の石が路上を覆い、道路脇に駐車されていたあらゆる車両は
大小の損傷を受け、道端に置かれたいたカキリマ屋台も無事な姿をとどめているものはひ
とつもなかった。

警察が治安を確保したトゥブン通りから押し出された攻撃集団はスリピ交差点に陣取って
投石・火炎瓶・爆竹を使って警察への攻撃を続けたが、その日の夕方に鎮圧されている。
警察が逮捕したのは、総選挙監督庁本部前で72人、トゥブン通り156人、ガンビル警
察署への攻撃で29人の合計257人にのぼった。逮捕された者の多くは若者で、逮捕時
にアルコール臭を発していたそうだ。取調べから、かれらの多くはバンテン・タシッマラ
ヤ・ヌサトゥンガラの住民で、たいてい無職者であり、このためにかき集められたプレマ
ンと呼ばれる極道やくざ者だったことが明らかになっている。

攻撃集団のためにこの騒乱計画を組んだ一味は、攻撃集団が使うための武器として弓矢や
刃物、投石用の石、放火のためのガソリンなどを前もって用意し、攻撃の直前に武器を特
定の場所にそろえて並べ、攻撃集団員がそれを手にして戦場に向かうような操典を行った
そうだ。


投石のための白い石を大量に積んだグリンドラ党のロゴ付き救急車(ジャカルタナンバー)
がタシッマラヤから戦場の総選挙監督庁本部前にやってきた事実を首都警察が公表してい
る。

警察が押収したこの救急車は運転手とグリンドラ党タシッマラヤ支部正副書記長の三人が
乗って21日20時にタシッマラヤを出発し、ジャカルタに入ってからチョクロアミノト
通りでリアウから来たふたりを拾い、22日午前4時ごろ総選挙監督庁本部前に到着した
が、そこは既に宴の後で、反対に警察に取り押さえられてしまった。[ 続く ]