「困難な低経済階層向け住宅供給」(2019年06月12日) 都内の低経済階層向け住居を賃貸集合住宅の形で政府が用意しなければならない、とバン ドン工大建築計画開発センター政策スクールのハルヨ・ウィナルソ教授が発言した。政府 はその方向で補助金支出を行うべきであるとのこと。 そのために政府は土地を所有し、集合住宅を建てて家賃を廉価に維持し、厳密な運営管理 を行わなければならない。特に、政府が用意した廉価な賃貸住居を又貸しして差額を得る 人間が出ないようにしなければならない。 廉価な賃貸集合住宅は地方自治体所有地であるパサルの上やコミュータ電車駅の上などに 設けて、居住者の交通費出費を減らすようにするのもよい方法である。 更に教授は続けて、政府は都市バンクを持って都市部にもっと広範囲の土地を取り扱わせ、 地価の変動をミニマイズしなければならないと訴えた。国民への住宅供給を満たす義務は、 国民の手に届く金額でなされることが必須条件なのである。かつてジャボデタベッで起こ ったような地価高騰は国民に用意された住宅の価格を吊り上げて、補助金支出を増大させ る反面、住宅価格の廉価感も霧消させてしまう。 2010年〜2014年のジャボデタベッにおける地価上昇率は次のようになっている。 数字は%。 地区: 2010〜11年、11〜12年、12〜13年、13〜14年、平均 ジャカルタ全体: 18.2、21.0、14.7、10.9、16.2 タングラン市: 28.6、22.2、63.6、27.8、35.6 南タングラン市: 16.4、18.5、25.0、22.0、20.5 ブカシ市: 28.6、23.3、49.1、19.3、30.1 デポッ市: 32.0、51.5、25.0、40.0、37.1 ジャボデタベッ全域のその4年間における平均地価上昇率は24.5%だった。 しかし政府が土地バンクを持って売地を管理して行くのは、ただでさえ困難な上に広い住 宅用地が都市部では残されていないのに加えて、民間不動産開発会社が既に土地を抑えて しまっていることが障害になる。2016年にはどの会社もたいてい5百Haの土地を抑 えていて、その合計は3.5万Haにのぼっている。 現在行われているような土地売買を市場メカニズムに委ねることは、低経済階層を都市中 心部から辺境部に追いやることになり、就業のための交通費支出を膨張させるだけでなく、 人間の生産性をも劣化させて行くことになる。 一方、住宅居住オブザーバーのチュッ・クスワルトヨ氏は、家族のための住居は動的な変 化をするものだと意見を述べた。 補助金付き住宅を購入する低経済階層は住宅取得ローン返済のために巨額な金を長期に渡 って支出することを強いられる。ところが構成家族は何十年も同じ状況でその家に住むわ けではない。また土地の手当てに関しても、現行制度に従うなら、民間不動産開発会社は 短期間にフレッシュマネーを手に入れて、それを土地購入に振り向けるというサイクルに なっている、と現状の問題点を指摘した。 低経済層向け賃貸集合住宅は最終的に地方自治体の資産となって管理運営されるため、地 方自治体の動きを中央政府がサポートする形態が自然なものになるのだが、国民住宅補助 金に関する現行制度がその思想とバッティングする面があるだけに、広範囲で大掛かりな 変更が必要となるように思われる。