「不正選挙は本当なのか?(終)」(2019年06月26日)

法曹の場における証人と被害者の生命身体保護はLPSK(証人被害者保護機関)が司る
ことになっているが、証人被害者保護法は刑事事件のみを対象にしており、民事告訴は対
象外になっている。告訴者の要請は法律外のことがらになるためLPSKを動かすことは
できないと憲法裁判所はその要請を却下し、憲法裁判所法廷内での安全は裁判所が保証す
ると回答した。

それはつまり、地方部から上京して憲法裁判所に出廷するまでの証人の身の安全が保証さ
れないことを意味している。告訴者側は証人を呼び集めて出廷させる必要がなくなったの
である。国家テロを怖れた証人が証言しなかったために、対立候補は憲法裁判所でも敗北
したのだというホウクスの種がここで撒かれたことになる。


この証人保護問題については、告訴者側が先に証人被害者保護機関を訪れて証人の保護要
請を直接出しているのだ。この憲法裁判所告訴に対応するためジョコウィ+アミン組が設
けた法律チームのリーダー、ユスリル・イッサ・マヘンドラ氏はそのニュースを耳にして
即座に、告訴者は国民に対して心理テロを行っている、と発言した。
「そもそも証人の名簿すら出されていない状況で、誰が誰を威嚇し、危害を加えようとし
ているのか?もし誰かがそのような目にあったなら、警察に届け出れば、警察が保護を与
えてくれる。対立側があたかも証人の出廷をさせないように動いているような見解を国民
に持たせようとする告訴者側の行為に、われわれは強い拒否を表明する。」

ユスリル・イッサ・マヘンドラ氏は政党Partai Bulan Bintang党首であり、インドネシア
大学法学部卒で法曹界に明るく、オルバ期から政治にも関与してきた。スハルト政権末期
に大統領スピーチ原稿を書いていたこともある。レフォルマシ時代に入ってから、法務人
権大臣や国家官房長官を務めた。私生活では日系フィリピン人女性を妻にしている。


組織的計画的大規模Terstruktur, Sistematis, dan Masif (TSM)に不正選挙を行ったとい
うセリフが絶えず語られている。きっとそのうち、TSMは流行語になって会社や工場の
中で使われることだろう。

ところが法廷で、その大看板が掲げられているにも拘らず、誰がいつどこでどんな不正を
行い、それが票集計にどのような影響を及ぼしたのか、という具体的な裏付けがなかなか
出て来ない。証人の法廷での証言というストーリーはどうなるのだろうか?そんなことで、
憲法裁判所への提訴に勝利の判決を得ることができるのだろうか?

もしも提訴者側に、勝てなくて当然という思惑があったなら、これはどういう話になるの
だろうか?現職大統領の再選で継続される政権とそれが担っている国家をディスクレジッ
トさせようとするオリエンテーションが、行われていることの節々に漂っている雰囲気を
感じているのは、わたしだけではあるまい。投票日を過ぎてから出現したあらゆる事実が、
脚色された別のストーリーの衣をまとって復活する日を待っているのではあるまいか。
[ 完 ]