「ISIS参加者を裁け(前)」(2019年07月17日)

ライター: 国際刑法学名誉教授、ロムリ・アッマサスミタ
ソース: 2019年7月3日付けコンパス紙 "Status WNI Eks NIIS"

外国の軍隊(ダエシュ/ISIS)に参加したために現在シリアで先行き見通しが皆無と
なり、インドネシアに戻ることを望んでいるインドネシア国籍者の国籍ステータスに関す
る話題が世間で論議されている。政府はかれらを暫定的に受け入れる方針を立てた。

それに関する政府の公式発表はまだ何もない。ダエシュ/ISISに参加したインドネシ
ア国民の国籍ステータスについては、ふたつの法律がその内容を決めている。管理手続面
を規定している2006年法律第12号「国籍法」がそのひとつであり、もうひとつは刑
法典と共に刑法面でそれを定めている法律だ。テロリズム刑事犯罪撲滅に関する2002
年法律代用政令第1号を法律化した2003年法律第15号を改正した2018年法律第
5号がそれである。

「国籍法」は血統主義と出生地主義の双方に対してインドネシア国籍が付与される条件に
ついて定めており、また国籍喪失についての条件も定めている。国籍ということがらを含
む国民というファクターが国家存立のための条件のひとつであり、国家が与える法的保護
の境界線がインドネシア国籍者と外国籍者の間に引かれているのである。

<国籍と子供のステータス>
出入国管理上の条件を満たしているかぎり、ひとがインドネシアに出入りすることは禁止
されない。しかしヴィザの違反が起これば、イミグレーション法にある行政管理上の罰が
与えられる。

ダエシュ/ISISへの参加経歴を持つインドネシア国籍者のステータスに関しては、国
籍法にいくつかの条項が見られる。第四章「国籍喪失」の中にある第23条には国籍を喪
失する理由として9件が述べられている。

その9件の中には、たとえば「自らが要請した場合」、あるいは「国外に居住している当
該者が18歳に達したか、もしくは既に婚姻した場合で、その機会があったにも関わらず他
国の国籍を放棄することを拒否した場合」、「大統領からの事前承認なく外国の軍役に服
した場合」などが見られる。

世間で論議されているダエシュ/ISISに参加したインドネシア国民の国籍ステータス
問題というのは、外国の軍隊に入ったという理由でかれらの国籍が失われるのかどうかと
いう内容だ。国籍法の関連条項にあるキーワードは「大統領の事前承認なしに外国の軍役
に服す」というものであり、ダエシュ/ISISに参加したインドネシア国民は明らかに
そのクリテリアに該当している。

「外国の軍隊」の理解は、ある国が編成した軍隊という意味だけでなく、ある国の公式政
府を転覆させることを目的にその国の特定グループが編成した武装部隊も含まれる。国際
法は公式軍隊だけでなく、傭兵部隊や民兵も認知している。傭兵とは金で軍事行動を請け
負う人間であり、民兵は公式軍隊の補助として政府が編成するものだ。[ 続く ]