「老人たち(2)」(2019年07月25日) 2017年中央統計庁調査では、インドネシア国民の中の老齢者は2,340万人いて、 総人口の8.97%を占めている。ところが四人に一人は毎月身体の不調を訴え、14% の老人はひと月に三週間も病に伏せているありさまだそうだ。 心理学者はそれに関して、生産性というものはフォーマルセクターで働く際の自分のキャ リアに関わっているものであるという見方が妥当でないのだ、と語る。 「停年になると、今まで行って来た仕事に対する自分の能力が落ちたのだと考えて、自信 を喪失し、家でぶらぶらするようになる。暮らしの中の退屈さと、他者への依存度の増大 に伴って、ストレスが心理のひだに溜まるようになる。息子に生活費の支援をしてもらっ たり、家族に自分の世話をしてもらう頻度が増加して、ストレスが起こるのだ。それが体 調を悪化させて、病気に罹りやすくなる。 老後の資金を準備することは常識化してきているものの、停年後の自分の人生で何をする のかという計画を立てているひとは少ない。職業生活から離れても、人間の行うことがな くなるわけではない。意義あることや価値あることを行うなら、本人の存在感は容易に回 復され、自分自身を取り戻すことができる。停年後にも、楽しく充実した人生を送ること は必ずできるのだ。」 もちろん老齢者の中に、比率は小さいけれどネティズンになっているひともいる。ISP 協会が公表している2018年のインターネット利用者年齢階層別統計は次のようになっ ている。これはその年代人口を百としたときの利用者人口のパーセンテージだ。 5〜9歳 25.2% 10〜14歳 66.2% 15〜19歳 91.0% 20〜24歳 88.5% 25〜29歳 82.7% 30〜34歳 76.5% 35〜39歳 68.5% 40〜44歳 51.4% 45〜49歳 47.6% 50〜54歳 40.9% 55〜59歳 40.0% 60〜64歳 16.2% 65歳超 8.5% 百からそれぞれの数値を引いたものが、その年代のネット非使用者ということになる。 非使用者がどうしてインターネットを使わないのかという理由については、全年代層をま とめたものとして、「テクノロジーの使い方がよくわからない」が12.6%、「興味が ない・自分には用がない」が5.1%、「コンピュータ等のツールを持っていない」が4. 1%あった。それらがインターネット敬遠派の三大エクスキューズになっている。 「使い方がよくわからない」という言葉の中に一種の恐怖感が混じり込んでいるのが感じ 取れるにちがいない。間違った操作をしておかしな事態が引き起こされることへの不安が 特に老齢者に多く見られるのは周知のことだ。[ 続く ]