「スンダメガスラストがバリ島を揺さぶる」(2019年08月19日)

2019年7月16日午前8時18分(バリ時間)に起こったM6.0の強烈な地震は、
バリ島を太平の眠りから覚ます結果をもたらした。2018年7〜8月のロンボッ島北東
部群発地震のときにバリ島で受けた揺れとは異なる、はるかに近距離の震源が送り出して
くる衝撃波からわたしは、質的に異なるエネルギーをそのとき感じた。

そのとき以降に起こった地震データを地学機構気象庁公式サイトから可能な限り集めたも
のがこれだ。地震発生時間は公式サイトにあるインドネシア西部時間帯に合わせてある。
7月16日7時18分 M6.0 震源9.11s 115.54e 深度68km
7月24日20時17分 M5.3 震源10.57s 115e 深度10km
8月12日5時8分 M4.9 震源8.87s 114.47e 深度82km
8月12日5時51分 M5 震源9.85S 113.95e 深度10km
8月12日15時31分 M4.9 震源9.65s 113.96e  深度10km
8月13日17時21分 M5 震源9.72s 113.97e  深度10km
8月13日20時40分 M5 震源9.67s 114.02e  深度10km

8月12日以前にもM5よりも小さいマグニチュードの地震が何度か発生しており、わた
し自身がそれを体感しているが、公式サイトからはタイムアウトされていてデータ採取が
できなかった。

震源地の南緯・東経を地図上でマッピングしてみれば、それらが海中の特定エリアに集ま
っていることがわかるはずだ。ジャワ島東端のバニュワギ県の最東南端にある半島アラス
プルウォの南部およそ100キロ前後の海底がそれで、そこはインドオーストラリアプレ
ートとユーラシアプレートが衝突する沈み込み帯になっていて、スマトラ島北西部からイ
ンド洋を下り、ジャワ島〜バリ島南部を経て東に向かう、スンダメガスラストと命名され
た巨大地震の潜在性を持ち続けている地溝帯なのである。


デンパサル市サンラにある地学機構気象庁支所は40秒間継続した8月12日5時8分の
地震および60秒間続いた5時51分の地震について、後のものは最初のものの余震でな
く、最初のものは余震を発生させなかったが、後のものは15時半までの間にM2.8か
らM4.9という幅で余震を11回発生させたことを報告した。そして15時31分の地
震が起こったのである。

この傾向に直面した地学機構気象庁は地震データ収集の範囲を広げるため、インテンシテ
ィメーター50基とセイスモグラフ2基をバリ島内に設置する方針を立てた。これから最
適設置場所の検討を開始して、年内にすべての設置を終えるスケジュールになっている。
バリ島内には既に13基のインテンシティメーターと5基のセイスモグラフが設置されて
いる。