「いよいよ排ガス基準合格義務付け」(2019年08月20日)

都内の交通渋滞緩和策のひとつとして、奇数偶数交通制限の対象道路が9から25に増や
されることが決定し、19年9月9日から実施されることになった。だが、奇数の日に奇
数のナンバープレート車両が対象道路に入れないのは午前6〜10時と午後の16〜21
時だけであり、自家用車族を公共運送機関に向けさせることを究極目標としている都庁の
首都交通政策としては、隔靴掻痒に近いものという感触は免れない。

都庁運輸局はそのポイントをもう一押しするために、新たな方針を発案した。ひとつは駐
車料金引き上げ、もうひとつは自家用車に対する排気ガス基準合格取得の導入である。

インドネシアで排気ガス基準合格の義務付けは、メーカーから出荷されたあとはないに等
しい。車検制度は商業車両だけが厳しく義務付けられているものの、自家用車に対しては
任意で済まされてきた。何十年も昔からコルプシの巣窟と言われてきた車検場に任意で赴
こうとする自家用車オーナーはほとんどいない。君子危うきに近寄らず、なのだ。

都内の大気汚染が世界最悪という異名を取り始めたころ、その対策として都庁は自家用車
オーナーに対し、排気ガス検査を勧めるキャンペーンを起こした。これはまあ、シニカル
な言い方をするなら、自家用車族が「わたしは世界最悪の大気汚染に加担していない」と
いう自己正当意識を持つための裏付けとして行われていたようなものであり、車検を受け
ているはずなのに真黒な排気ガスをまき散らして都内をわが物顔に走る都バスやトラック
たちがそのキャンペーンに応じるはずもなく、何を目的に行われているのかがよくわから
ないキャンペーンだったようにわたしは記憶している。だが今回都庁運輸局が出してきた
案はちょっと違っている。


都庁は都内の路上を通行する車両がすべて排気ガス基準を合格していることを必須条件に
すると決めた。ジャカルタの登録車両であろうがなかろうが、おかまいなしだ。この方針
は2020年初から開始される予定になっている。

ならば、BナンバーであろうがFナンバーであろうが、車両が排気ガス基準合格を証明で
きない場合に何が起こるのか?都内のどこであれ、駐車料金が倍増することになるという
のがその帰結だそうだ。都庁はまず近々に駐車料金を引き上げる。そしておもむろに、排
気ガス基準合格が証明できないなら、その倍額を払え、と来るのである。駐車場業者は喜
んでこのアイデアを実行することだろう。

それだけでは、普段から駐車料金とは無縁の自家用車両オーナー都民は痛くも痒くもない
にちがいない。だから都庁は毎年納めなければならない自動車税とその手続きであるST
NK延長プロセスの申請を受け付ける条件として、排気ガス基準合格の証明を提示させる
ことになる。

不合格であれ、未検査であれ、合格を証明できなければ、自動車の路上走行時に必携が義
務付けられているSTNKが更新できず、もし無理やり路上に出て捕まれば、期限切れS
TNKに科される罰金を納めなければならなくなる。つまりその車両が路上走行できなく
なるようにするという、持って回った方策だ。

ちなみに都庁生活環境局の19年7月データによれば、首都ジャカルタの登録自家用車両
台数350万台中で、排気ガス基準検査を受けたのは196,440台、そして基準に合
格したのはそのうちの92%であり、8%は不合格だった。