「国政高官は蓄財への道」(2019年10月03日)

ライター: ビジネスインドネシア紙記者、アッマッ・ジャウハル
ソース: 2009年5月30日付けビジネスインドネシア紙 "Si Kaya dan Si Miskin"

テレビで放送された正副大統領候補者の自己申告個人資産明細報告を見終えたスト、ノヨ、
ダップの三人は、言葉を失って顔を見合わせるばかり。ストがまず口を開いた。
「ほら、ノヨ。大統領に立とうってえ人間はまず財産を持たなきゃ。ホンモノの財産だぜ。
膝財産じゃねえよ。少なくとも数十億ルピア程度のな。」

ダップがそれを受けて言う。
「SBYがかわいそうだなあ。SBYの資産は68億ルピアと246,389米ドルで、
合計は100億ルピアにもうちょっと。ほかの正副大統領候補者の中でかれが一番貧乏だ。
相方のブディオノの半分にも満たない。ブディオノは220億ルピアと1万5千米ドル持
ってるんだ。」

「わあ、ブディオノがそれほどの金持ちだなんて、オレは思いもしなかったよ。かれはこ
れまでいつも、クールで素朴なスタイルで登場していたし、あれこれと奇手を弄するよう
なこともしなかった。それがSBYより金持ちだなんて・・・。
経済学者だから、いろいろ投資をしてマネービルに精出すのはお手の物だったのかもね。」
ノヨが意見を述べる。

「ブディオノが金持ちだったらおかしいかい、ノヨ。ブディオノのベースがガジャマダ大
学の教官だということから、おめえは地方大学の教官たちの経済生活のイメージをブディ
オノに当てはめているんだろうが、そりゃ的外れだぜ。かれは少なくとも三回は閣僚に名
を連ねてるし、中央銀行でも二回役職に就いている。それに国内や国際分野で活動してる
あちこちの経済機関でアドバイザーになってることは十二分に想像がつく。ブディオノが
たいそうな金持ちであることは、理の当然ってもんだ。」

SBYに執心のダップが言う。
「SBYが一番貧乏だと言っても、かれは5年間大統領を務めて資産を倍増させた。20
04年に大統領に立候補したときのKPKの検証済み個人資産総額は45.6億ルピアだ
ったから、5年間で50億も増やしたことになる。」

「いやさ、そんな程度じゃ言うに及ばないね。メガワティを見てごらん。2001年3月
に大統領に就任したときの資産額は598.1億ルピアで、2004年8月に任期が切れ
たときには750.6億に増えていた。3年半で152億も増やしてる。それが今やなん
と、2,564億という資産総額だ。どうだい、この凄まじさは。」ノヨが蘊蓄を披露し
た。

ダップも負けていない。
「財産の増え方の話なら、JK=ウィラント組も凄まじい。5年前にかれらが大統領選に
立候補したとき、JKは1,226.5億、ウィラントは462.1億だった。今はそれ
がJKは3,150億、ウィラントは820億になってる。
ウワ・ハジ・ロマ・イラマの歌を思い出すなあ。Yang kaya makin kaya ....yang miskin
makin miskin ....政治リーダーたちがますます金持ちになっていくのは悪いことじゃな
いが、願わくば、庶民も一緒に豊かになっていきゃあ、言うことがない。」

「財産を増やす条件は刻苦勉励、ハードワーク。プラボウォ・スビアントを見てみな。か
れの個人資産は1.6兆ルピア。他の正副大統領候補者を完全に抜いてる。他の正副大統
領候補者の資産を合算したって、その半分にも及ばねえ。」

「プラボウォは一介の軍人だったのに、そんな超金持ちなんだ。もちろん将軍だったわけ
だけど。11年間で巨万の富を築くのに、かれはいったいどんなハードワークをしたんだ
ろうか?」

「オレがメディアの記事を読み漁ったところでは、かれのビジネスは多岐にわたっていて、
その詳細は明らかにされていねえ。大手企業の株主にもなってる。軍に顔が利くんだから、
軍内部のコネもたくさん握ってるはずだ。外国の士官学校に留学して卒業してるんだから、
国内外の軍需物資ビジネスに絡んでる可能性は十分想像できる。」

「かれは元チュンダナ一族なんだから、スハルト家の財産にも関りがあるかもね。」

「シッ。めったなことを言うもんじゃねえ。証拠もなしに憶測だけでそんな話をしたら、
誹謗中傷でやり玉にあげられるかも知れねえ。気を付けなきゃいけねえぞ。そもそも他人
の財産をあげつらったところで、オレたちには意味のねえことだ。」

「いや、スト兄貴、そうじゃないんだよ。われわれの国家リーダーの選択に、十分に関係
のあることなんだ。大統領は十分に豊かな人間であってこそ、私利私欲を目指さない国民
の統率者としての期待が置けるんだ。自分と一族の暮らしが十分に成り立つから、国家国
民のための政治に邁進できるというわけだ。果てしなく富を集めたところで、あの世に持
って行けるものでもないんだから。」

「うん、そりゃいいんだが、他人の財産の出所がどこかなんてことを詮索するのはよした
がいい。まったくビューティフルじゃねえから。」
三人の話題は北へ南へと飛び跳ねて行く。