「行政区画名称の変遷（４）」（２０２０年０１月０９日）

インドネシア連邦共和国Republik Indonesia Serikatは次のような諸国で構成された。
1. Negara Repoeblik Indonesia (Atjeh, Sumatra Tengah, Lampoeng, Tapanuli, 
Djogdjakarta)　首都Yogyakarta
2. Negara Indonesia Timur　首都Makassar
3. Negara Pasundan (Distrik Federal Djakartaを含む)　首都Bandoeng
4. Negara Djawa Timoer　首都Soerabaya
5. Negara Madoera　首都Pamukasan
6. Negara Soematra Timoer　首都Medan
7. Negara Soematra Selatan　首都Palembang

一方自治領として連邦に参加しない諸国は次の通りだった。
1. Daerah Djawa Tengah　首都Semarang
2. Daerah Istimewa Kalimantan Barat　首都Pontianak
3. Daerah Dajak Besar　首都Bandjarmasin
4. Daerah Bandjar　首都Bandjarmasin
5. Daerah Kalimantan Tenggara　首都Kota Baru
6. Daerah Kalimantan Timoer　首都Samarinda
7. Daerah Bangka
8, Daerah Belitung
9. Daerah Riau

オランダ側にすれば、インドネシア共和国というものの存立は認めるものの、その共和国
には広大な領土と大量の国民を持たせないようにし、他の地方にはそれと対等の政体を作
らせてオランダの影響下に引き入れ、この連邦共和国を意のままに扱おうとする、昔から
の分割統治思想がその構想の底辺を支えていたにちがいあるまい。

結果的に、独立宣言以来行われてきた新国家の制度構築はヨグヤカルタスルタン国とスマ
トラ島の一部地方でのみ施行できる状況に投げ込まれたことになる。共和国の４５年憲法
もその地域でのみ有効性を持つ形になったということだ。

言うまでもなく、連邦共和国のために憲法が作られ、Konstitusi Republik Indonesia 
Serikatと称された。連邦を構成する各Negaraが従うべきものはこの連邦共和国憲法であ
り、４５年８月１８日の憲法ではないというのが論理の帰結になる。


こうして１９４９年１２月２７日にオランダの肝いりで連邦共和国が発足したのだが、こ
の連邦国家は一年も経たない１９５０年８月１７日に解散してすべてがインドネシア共和
国の中に納まり、Negara Kesatuan Republik Indonesia（ＮＫＲＩ）の名の元に４５年８
月の独立宣言の精神へと復帰したのである。実にあっけない幕切れだったと言えるだろう。

ＮＫＲＩがついに実現したとき、インドネシア共和国は過去に存在したふたつの憲法とは
異なるものを作った。１９５０年暫定憲法Undang-undang Dasar Sementara 1950がそれで
ある。

１９５７年１月１７日に１９５７年法律第１号「地方自治体基本法」が制定されて、ＮＫ
ＲＩの地方行政区画は次のように定められた。
1. 第一級自治体　Daerah Swatantra Tingkat I
2. 第二級自治体　Daerah Swatantra Tingkat II
3. 第三級自治体　Daerah Swatantra Tingkat III
SwatantraはSwaprajaと同じ意味を表しており、Daerah Swaprajaと呼ばれることもあった。
第一級自治体には首都ジャカルタ市Kotamadya Jakarta RayaがPropinsiと同格で含まれた。
[ 続く ]